仮想通貨(暗号資産)の取引方法の一つに「板取引」というものがあります。
板取引自体は仮想通貨の売買に限らず、株式の売買などで使われる一般的な取引方法ですが、慣れていない方には聞き馴染みのない言葉だと思います。
この記事では、仮想通貨の板取引の意味をはじめ、取引所・販売所の違いや板取引ができる銘柄・手数料の比較などを詳しく解説しています。
ここがポイント
- 板取引の意味
- 販売所と取引所の違いを理解して手数料を少しでも抑える
- 各取引所ごとの取扱銘柄と手数料に違いがある
仮想通貨の「販売所」と「取引所」の違いを知らずに取引してしまうと損をするケースもありますのでしっかり抑えておきましょう。
あわせて板取引の方法・やり方も画像付きで解説していますのでぜひ参考にしてみて下さい。
仮想通貨の板取引とは?
板取引の「板」とは、買い注文と売り注文の価格や数量が把握できる一覧表のことで、その情報を利用して注文(オーダー)するのが板取引です。
画像のように現在注文が入っている買値と売値の注文量がそれぞれ板に表示されており、価格から相場を把握して自分が売買する価格を決定することができます。
取引所によって表示される買い注文と売り注文数が異なりますが、選択してる銘柄の現在価格により近い買値・売値の注文が入るたびにリアルタイムで入れ替わっていきます。
※ Coincheck(コインチェック)の場合は買い売りともに10ずつ表示
また、板取引は「取引所」でのみ利用でき、「販売所」では利用することはできません。
販売所と取引所の違い
国内の仮想通貨取引所で仮想通貨を購入する際、取引所」と「販売所」のいずれかで購入します。
ここからは取引所と販売所の違いをわかりやすく解説していきます。
取引所の特徴
取引所とは 、「仮想通貨を保有している他のユーザー間で取引」する方式です。
仮想通貨を買いたい人は、いくらで何枚欲しいのかを注文し、その条件が仮想通貨を売りたい人と一致すれば取引成立となって買い手のウォレットに取引所から対象の仮想通貨が送られます。
「販売所」での購入に比べて大幅に手数料が抑えられるというメリットがある反面、相場を見る必要があるため慣れていないと少し難しいという点がデメリットです。
また、取引所では「指値注文」と「成行注文」の2つの取引方法があります。
販売所の特徴
販売所とは 、「事業者(各取引所)が販売価格を決めて直接販売」する方式で、コンビニのような店頭販売や通販サイトをイメージしてもらえれば理解しやすいかと思います。
購入方法がシンプルなので初心者でも簡単に購入することができるメリットがある反面、「手数料が高い」という点がデメリットになります。
販売所で購入する度に割高な手数料がかかってしまうため、頻繁に購入を計画している方は特に「取引所で購入」することをおすすめします。
取引所・販売所で売買する時の手数料は違う?
販売所や取引所で仮想通貨を売買するときにかかる手数料は「取引手数料」と呼ばれています。
販売所での取引手数料は"無料"と謳っている取引所もありますが、販売所で売買する際には、購入価格と売却価格の差額を顧客が負担する「スプレッド」というものが発生します。
スプレッドは取引所ごとに自由に設定できるため、同じ仮想通貨であっても取引所によって価格差が生じます。
Coincheck(コインチェック)販売所のBTCで見てみると「購入レート:2,858,939円」、「売却レート:2,691,934円」となっており、この差額である167,005円がスプレッドとなります。
この場合、仮に1BTCを購入すると、その瞬間にマイナス167,005円からスタートするイメージになります。
一方、取引所で売買する場合はスプレッドではなく取引手数料が発生します。
取引所の場合は取引手数料が0.1%前後(取引所による)しかかからないので、1BTCを2,858,939円で購入した場合の取引手数料は2,858円で済む計算になります。
このように同じ仮想通貨を買うにしても販売所と取引所では取引手数料に大きな差が出てきます。
ですので、頻繁に売買する方や、少しでも損をしたくない方は取引所での板取引がおすすめです。
仮想通貨取引所で板取引できる銘柄・取引手数料を比較
ここからは国内の取引所別に取扱銘柄や手数料の比較を紹介していきます。
「板取引ができる銘柄」という条件で絞っていますので販売所しかない取引所は除外しています。
該当する取引所をピックアップして表にまとめていますのでチェックしてみて下さい。
Coincheck | GMOコイン | bitbank | bitFlyer | FTX JP | Zaif | |
---|---|---|---|---|---|---|
取扱銘柄数 | 6種 | 21種 | 38種 | 17種 | 14種 | 15種 |
取扱銘柄 ※ 全てJPY建て | BTC|ETC|LSK| MONA|OMG|PLT | BTC|ETH|BCH| LTC|XRP|XEM| XLM|BAT|OMG| XTZ|QTUM|ENJ| DOT|ATOM|XYM| MONA|ADA|MKR DAI|LINK|FCR | BTC|XRP|LTC| ETH|MONA|BCC| XLM|QYUM|BAT| OMG|XYM|LINK| MKR|BOBA|ENJ| MATIC|DOT|DOGE| ASTR|ADA|AVAX| AXS|FLR|SAND| APE|GALA|CHZ| OAS|MANA|GRT| RNDR|BNB|ARB| OP|DAI|KLAY| IMX|MASK | BTC|ETH|XRP| MATIC|DOT|DOGE| MKR|XYM|LINK| XTZ|XLM|XEM| BAT|ETC|LTC| BCH|MONA|LSK | BTC|ETH|XRP| DOT|SOL|USD| DOGE|LTC|FTT|AVAX| BCH|BAT|ENJ|OMG | BTC|ETH|DOT| XYM|XEM|FSCC| CICC|NCXC|COT| BCH|MONA|ZAIF| CMS:XEM|CMS:ETH| XCP |
取引手数料 | 無料 | -0.01 〜 0.05% | メイカー:-0.02%、テイカー:0.12% ※一部銘柄を除く | 無料 | 0.02 〜 0.07% | 0.1 〜 0.3% |
公式サイト |
板取引のやり方・使い方
板取引では「指値注文」と「成行注文」がありますのでそれぞれ画像付きで解説していきます。
画像は「Huobi JP」のものになりますが、どこの取引所も大差はありませんので参考にしてみて下さい。
指値注文の方法・やり方
手順1:取引所ページを開く
ホーム画面上部の「取引所」をクリックして下さい。
スマホの場合は、画面下の「取引所」をタップして下さい。
手順2:各項目を入力して取引
以下の項目を選択して取引して下さい。
- 取引する通貨ペアを選択
- 「指値」になっている事を確認、取引したい金額を入力
※ 注文板の価格をクリックしても反映します - 取引したい数量を入力
- 「○○○を買う or 売る」をクリック
成行注文の方法・やり方
手順1:取引所ページを開く
ホーム画面上部の「取引所」をクリックして下さい。
スマホの場合は、画面下の「取引所」をタップして下さい。
手順2:各項目を入力して取引
以下の項目を選択して取引して下さい。
- 取引する通貨ペアを選択
- 「成行」を選択、取引したい金額を入力
- 「○○○を買う or 売る」をクリック
仮想通貨の板取引でよく使われる用語
指値(さしね)注文
指値注文とは、任意の価格を指定して注文する方法です。
買い注文では指値以下、売り注文では指値以上の価格になったときに注文が約定します。
相場が動いて注文した価格に達すると自動で取引が成立するため、常にチャートに張り付く必要はありません。
その反面、注文した価格まで変動しないと約定されないので、慣れていない方には少し難しく感じてしまうかもしれません。
成行(なりゆき)注文
成行注文とは、リアルタイムの価格で即時注文する方法です。
相場の変動に関係なく、その時の価格で即時売買ができるため、すぐ取引を完了させたい場合などにおすすめの取引方法です。
買い注文では現時点の最低価格で、売り注文では最高価格で注文が約定します。
相場の変動が激しいと希望する価格での売買ができない可能性があるので注意が必要です。
板が薄い・厚い
仮想通貨や株の板取引では注文数が少ないことを「板が薄い」、注文数が多いことを「板が厚い」と表現します。
注文数の多さ・少なさでその仮想通貨の売買がどれだけ活発に行われているのか、また、注目度を推し量ることが可能です。
まとめ
板とは、取引所での売買にのみ利用できる取引方法であり、買い注文と売り注文の価格や数量が把握できる一覧表です。
板取引は指値で取引することもでき、手数料を抑えられるというメリットがあるので、国内の仮想通貨取引で売買する際は、取引所の板取引を利用した方が断然お得になります。
販売所と比べる難しいというイメージがあるかもしれませんが、初心者でも板取引が利用できよう、よりシンプルに設計されている仮想通貨取引所が多くなってきていますのでぜひチャレンジしてみて下さい。