※この記事はAkujiro氏(@Akujiro2)よって公開されたProposal:5234『Lower the tax rate to 0.2% and set aside 10% of tax revenue to finance ecosystem infrastructure and contributors(税率を0.2%に引き下げ&開発者たちへの支援)』の内容を日本語訳した記事となります。
LUNC(Terra Luna Classic)提案概要
1.2%のTaxを引き下げて、より多くの オンチェーン(on-chain)ユーザーを惹きつけ、取引量を増加させ、ひいてはTax Burnの発生頻度や量を促進させます。さらに、Terra Classicブロックチェーンの継続的なサポートと開発の貢献者に資金を支援するために、バーン前の全税収の10%(トランザクションあたり0.02%)を確保することです。
提案動機
この提案は、中央集権型取引所(CEX)や他のオンチェーンユーザーに、Taxを維持しつつ、その利益を開発関連費用、エンドポイント、過去および現在の貢献者(個人またはTerra Rebelsなどの組織)への貢献に対しての支援に充てることで効率的に使用することを目的としています。
Prop3568 で提案され、Prop4159 で実施・分配されたバーン税は、2022-09-21に実施されました。それ以来、LUNCのオンチェーン取引量は-91.67%減少し、最初のシグナル提案の7日後の測定から-3.45%の差となりました。
チェーンは18日間で合計~367.06bユニット、LUNCのみの1日平均出来高は20.39bユニットとなっています。課税前のオンチェーン取引量は、12日間で合計2,349.06B units of LUNC、1日平均195.76B units of LUNCでした。
今回の実装では、ステーカー、ホルダー、投資家はTaxを支払わないため、自主的に燃やす以外でバーンが発生することはありません。一方、チェーンを介した資産の取引や送金はバーンが発生します。LUNCがCEXに送られる場合、送金と出金にのみ課税されます。
この点については、各CEXがそれぞれでバーン税を支払っておりCEX間で異なります。さらに、CEXはオンチェーンユーザーや自主的なバーナーよりも多くのTaxを支払います。
また、推定148.5億LUNCユニットの燃焼のうち、CEXは6.87億ユニット(全燃焼の46.22%)を占めており、目標とされている100億LUNCまで減らすのに20 〜 60年以上かかると推定されています。
これは、676.9億LUNCがネットワークに結合され利回りを稼いでいるため、現在の数値を用いて推定することは不可能と言えます。
理由1:税収が使用されていない
現在の税率では、導入コストを正当化できるほど十分なLUNCの燃焼が行われていません。CEXが燃焼の半分近くを作り出していることから、トレーダーが半分近くバーン枚数を産み出していることが分かります。
さらに、Terra Rebels や個人などの貢献者は、これまでに行った仕事に対する報酬を受け取っておらず、これまでの作業は無報酬で行われてきました。
LUNCコミュニティは、0.0003ドル/LUNCという価格で、約447万ドル相当のLUNCを発生した収入や自主的な意思によって燃やしてきました。しかし、ブロックチェーンエコシステムの成長のための資金や、貢献者への報酬には一切使われていません。
そのことによって、ブロックチェーンに現在貢献している人々が継続してサポートすることを思いとどまらせる可能性もあり、Taxを全てバーンに充てることによって短期的に得られる利益は、長期的に犠牲ともなりえます。
理由2:バリデータの存続
バリデータ はブロックチェーンのブロックを生成し、取引が発生するたびに手数料を徴収して手数料を得ます。
バリデータがブロックチェーンの運営を行うことができるのは、採算が合わなくなり閉鎖せざるをえなくなるまでの間だけで、仮に不採算となりバリデータが集団で撤退した場合、ブロックチェーンはシャットダウンされます。
つまり、チェーンが止まるということは取引ができないことを指し、ユーザーは保有するトークンを動かすことができません。
Terra Classicは投票権を持つ130人のアクティブなバリデーターを置くことができますが、バーン税の実施後、アクティブなバリデーターの数は90人からここ数週間で83人に減少しています。
さらに、現状は4つのバリデータ(Allnodes、Interstellar Lounge、Orion.Money、LUNC DAO)がネットワークの51%以上を支配しており、ネットワークの中央集権化が進んでいることが示唆されています。
オンチェーンでの流動性(ステーキングやデリゲーション)とオフチェーンでの裁量的な税回避に資本が集中することは、税の悪影響が深くなる前に早急に対処しなければならない問題です。
この問題は、議決権行使プロセスのコントロールによるガバナンス攻撃の可能性や、LUNC投資の価値を決定するチェーン自体の利用動機の低下をさらに進める可能性もあります。
理由3:トレーダーの動き
現在のTaxの実装では、基本的なスワップは取引の額面に対して1.2%のTaxが発生する。契約を通じて複数の取引が発生する一部の DApps では、ユーザーはスワップごとに1.2%を課されることになります。
例えば、LunaPunksNFTマーケットプレイスを利用する場合、ユーザーは入札時に1回、出金時に1回ずつ課税されることになります。入札が成立したかどうかに関係なく課税され、入札が成立すれば再度課税されます。
純粋な利益の観点から、マーケットメイキングを生業とするトレーダーは、損益分岐点である「1.2%+手数料」を超える利益を得ることが必要となります。
さらに、ウォレット間で送金を行うユーザーは送金した資金の1.2%を支払います。つまり、誰かが友人に$100を送金する場合はそのために1.20ドルを支払うことになります。
提案の詳細
税率を下げることで、CEXやその他の オフチェーン(off-chain)保有者がオンチェーンに戻って取引を行うよう促し、より高い需要が少ないTaxで成功する環境を作ることで、バリデータのチェーン運営コストを維持することができると考えます。
提案は簡単で、トレーダーがオンチェーンに戻ってくることを促進するために、一時的な妥協案として、燃焼税の税率を1.2%から大幅に低い値に引き下げるというものです。ですが、彼らがチェーンを使用するために戻ってくることは保証されていません。
そのため、LUNCコミュニティとTax Burnを可能にした開発者たちに資金を支援し、最新のエンドポイントなどの必要なインフラ整備を進めていくことを提案します。
提案するTaxの概要は以下の通りです。
- すべての取引にかかる税率を0.2%に即時引き下げる
- Taxの0.02%をエコシステムの財源として徴収する
実施後、エコシステムがどのように変化したかに応じて、オンチェーンでの課税の有効性を再評価する。将来の測定のための一般的なヒューリスティックとして、我々は以下を提案します。
- 需要(取引量と関連統計で測定される)と需要によって発生する税収とを比較して、最大1.2%まで大幅に増加した場合、課税を増加させる
- 税収に対する需要が現在の測定値よりも大幅に減少し、0.02%の下限値まで減少した場合は課税を軽減する
- 7日ごとにTaxを見直す。これはTaxを完全に変更するために必要な期間である
- さらに、1.2%を超えてさらに引き上げることを提案する前に、変動税率または補間税率を再導入する
税コードはTaxポリシーの値として、rate_minとrate_maxを使用します。rate_min と rate_max は共に 0.002 に変更され、0.2%という新しい税額を表現します。
さらに、報酬ポリシーの値が0.9998に変更され、10%の税収調整を表します。この資金はバーンの代わりにコミュニティプールに送られます。
中立的な観察
バリデーターは税率の変更を反映し、手数料をプラスまたはマイナスに変更する可能性があります。
オンチェーンでのトランザクションの必要性
取引はブロック生成に必要であり、バリデーターの報酬はこれによって支払われます。税金を下げるだけではトランザクションの激減という問題を解決できないので、コミュニティがどのようにすればより多くのトランザクションをオンチェーンで発生させることができるかを検討することを考える必要があります。これにはDAppのアイデアや実装、あるいはもっと斬新なものが含まれるかもしれません。
提案のメリット・デメリット
Proposal:5234のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- Tax Burnを選択することで、トレーダーのチェーンへの復帰を促す可能性がある
- オンチェーンでの部分的な課税(0.2%)を維持しながらLUNCをバーンし続け、LUNCの再生のためにエコシステムのポジティブな使用と資金調達のための税収を確保する
- LUNCエコシステムのコア開発者と貢献者が行った作業に対して補償する
デメリット
- 全体的にLUNCのバーン数量が少なくなる
- CEXのユーザーがチェーンに戻るかどうか、裁量税率を守ったり変更したりするかどうかは保証されない
- トランザクションの出口がないため、現在のオンチェーンボリュームを全く変えないかもしれない(オンチェーンに残っているDAppsが少ないため)