※この記事はTerra RebelsのメンバーであるMaximilian Bryan氏(@maxbrytr)によって執筆された『The reserve always wins』(前回提案の補足)の内容を日本語訳した記事となります。
少し前に、Alex Forshaw(@4lex_4sh4w_TR)、Edward Kim(@edk208)、そして私の3人から、USTCの方法について提案しました。このリペグがユーティリティを復活させる上で大きなメリットは、すでに 最初に提案した記事で述べたとおりです。
このリペグをどう実現するかについては現在も議論が続いていますが、私たちが提案した内容に対して、我々が期待していたほどには注目されませんでした。
そこでこの記事では、前回の提案での重要なポイントである「リザーブ(準備金)」ついてさらに焦点を当てて説明していきます。
リザーブの課題
今年5月の暴落の際、TFL はBTC(ビットコイン)のリザーブを使ってUST(現USTC)を買い戻し、ペグ を維持しようとしました。リザーブはそのためにあるので彼らはそうしたのでしょうが、実際にはリザーブが何に使われたかは分かりません。リザーブは分散型システムの中央集権的な部分だったのです。
購入されたBTCはLFG財団が保有しており、実際には数人が数百万相当のBTCを管理していたことになります。さらに、このリザーブがUSTの価格維持に使われる際のルールも明確ではありませんでした。
後の祭りではありますが、人々の間では「リザーブの利用時期が早すぎたため、あまり効果がなかった」との声も出ています。もしもUSTの後継となる分散型のAFT(*1)を作る際には、この透明性の欠如にもっと上手く取り組んだ別のものを作らなければなりません。
リザーブについての考え
Alexのリペグの提案には「リザーブ」の作り方のアイディアが含まれていました。
まだ技術的な詳細は不明ですが、ルールが明確であるという意味では透明性があり、他のすべてのリペグ案がこの案と比較されることになるでしょう。
私たちの提案の中核となるは「USTC価格がペグした時に税収を利用してBTCを購入すること」です。
保有するBTCの目標額を設定し、それをUSTCの価値に対するパーセンテージで表します。
ペグされていることが前提とした上で簡単な例を述べると、USTCの時価総額が10億ドルで、その60%にあたるリザーブをBTCで保有する場合、税収を利用して6億ドル相当のBTCを保有するまで購入し続けます。
リザーブの利点
リザーブの使用方法について説明する前に「リザーブの重要な利点の1つ」について触れておきたいと思います。
それは「リザーブは絶対に必要」ということです。
リザーブが実際に何をしているのか考えてみましょう。リザーブは「ペグ時にBTCを買う → USTCを1ドルで売る → 価格が下がった時にUSTCを買い戻す」この一連の流れで使用されます。USTCを買い戻す際、価格が低ければ低いほどその分利益は大きくなります。
仮に「リザーブが2億5000万ドル、10億USTCが流通、価格が0.50ドルまで下落している場合」を想像してみて下さい。その場合、リザーブは全USTCの半分を買い戻し、バーンするのに十分な資金を持っていることになります。
全USTCの半分がバーンされた場合、流通するUSTCは5億枚しか残らず、これは時価総額と同じであるため、リペグするには十分な量であることを意味します。
リザーブの使用方法
ここから2つの極端なリザーブの使い方を詳しく説明します。
1つ目は「リザーブでUSTCを買い戻し、価格が$1を下回るとすぐにバーンする」という方法です。
例えば、0.99ドルまで下落した時点でUSTCを買い戻して焼却します。その場合、リザーブは頻繁に機能することになり、実際に正常な価格変動があった際にペグを維持させます。「USTCをLUNCにスワップすることでペグを維持できる」という点を念頭に置いておくことが実際の意図した方法です。
また、USTCを高値で買い戻すということは「リザーブを使用したことによる利益が非常に少なくなる」ということを意味します。USTCを高値で買い戻した時に大きな問題が発生するのは「リザーブが空っぽになってしまった場合」です。
仮にそうなってしまった場合『USTCの準備金は空だ!』という見出しに釣られた人々がUSTCを全て売却してしまう可能性があります。
2つ目の方法は「USTCが0.01ドルで取引されている時など、できるだけ低い価格で買い戻す」という方法です。
リザーブの規模をそれほど大きくする必要がないため、この方法は非常に実現可能なオプションであると考えられます。しかし、実際には"すべての"USTCを一度に買い戻すことは不可能です。
価格が0.01ドルより下がれば、その注文は成立し、少額が買い戻されて上手く機能しますが、USTCの価格が0.01ドル前後で無期限に推移することになるとも考えられます。
トランシェについて
最もベストと言えるのが「先ほど説明した両極端な使い方の中間にある方法」です。
Alexは「リザーブをいくつかのトランシェ(*2)に分割し、それぞれ異なる価格水準で使用する」という方法を提案しました。0.90ドル、0.08ドル...といった具合に10個のトランシェに分割する方法です。
(*2)トランシェ:証券化商品などをリスクレベルや利回りなどの条件で区分したものを指す金融用語
下記はトランシェの使用例です。
- USTC価格が0.90ドルを下回った場合、リザーブの10%を使用してUSTCの買い戻してバーン
- 価格が再び0.90ドルを上回ればそれ以上は何もしない
- 価格が0.90ドル以下で推移し、指定された10%のリザーブが空だった場合は何も行われない
- 価格が次の定義済みの価格ポイントである0.80ドルを下回った場合のみ、トランシェの次の10%を使用してUSTCを買い戻してバーン
といった流れになります。
結論
このトランシェのシステムで、私たちは2つの極端なリザーブ使用方法の間で前述したような妥協点を見つけたのです。
USTCは底値までカバーされる可能性があります。0.90ドルのような高い価格で買い戻された場合、リザーブはわずかな利益しか得られませんが、しっかりと機能していることを保有者に示すことができます。
USTCの価格が下がれば下がるほど、リザーブを使用した利益は大きくなり、理論上、底値に達したときにすべてのUSTCを買い戻すことも可能となります。
Terra Classicのリペグ|アップデート提案:Alex Forshaw
この記事はAlex Forshaw氏によって執筆された『The Terra Classic Re-Peg: Updated Proposal(テラ・クラシックのリペグ:アップデート提案)』の内容を日本語訳した記事となります。
続きを見る