Terra Classic(LUNC)

Terra Classicが抱える問題と分散型インフラの提案|StrathCole

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※この記事は、Terra Classicチェーンの開発者であるStrathCole氏(@ColeStrathclyde)が2022年12月17日に公開した『Infrastructure: An underrated issue for Terra Classic』の内容を日本語訳した記事となります。

Terra Classic(LUNC)の現状と問題点について

すべてのプロジェクトには信頼性が高いインフラが必要

Terra Classic(LUNC)や他のブロックチェーン、その他インターネット上でアクセスできるほぼすべてのプロジェクトには「稼働している信頼性の高いインフラ」が必要です。普段、すべてが問題なく実行されている間は誰もバックグラウンドで何が起こっているかなど気にしません。人は、問題が発生したときにだけ「すべてを維持するインフラが存在している」ということを意識するのです。

Terra Classic(LUNC)の現状

Terra Classicはみなさんがご存知の通り「Proof of Stake(PoS)」を採用しているブロックチェーンです。バリデータ ノードは様々なデータセンターに分散しており、修正や改善などを行う場合にはコミュニティが投票権を持ちそれぞれが投票を行います。もちろん、他の記事や投稿で指摘されているように、分散化には「ステーキングの一極集中による議決権の偏り」などいくつかの問題があります。

しかし、チェーンにとって不可欠なものが1つあり、それは完全に中央集権化されています。

TFL(Terraform Labs)とエンドポイント

ユーザーや DApps 、プロジェクトなどはブロックチェーンデータにアクセスする必要がありますが、DDoS攻撃 (*1)のリスクを防ぐため、セキュリティ上の理由からバリデータの ノード はいかなる場合でも一般に公開されてはなりません。そのためにバリデータ以外のノード(フルノード)が存在し、チェーンへの入り口、または内部的なリクエストを転送する役割を担っています。

(*1)DDoS攻撃:ウェブサービスを稼働しているサーバやネットワークなどのリソースに意図的に過剰な負荷をかけたり脆弱性をついたりすることでサービスを妨害することを指す。

現在のTerra Classicチェーンでは、主に TFL(Terraform Labs)が提供するインフラを使用しています。先日、TFLのJared氏(@Jared_TFL)にTerra Classicのエンドポイントを動かすために使用しているサーバクラスタ(複数のサーバを連結させる構成)についてDiscode内のチャットで聞く機会がありました。

TFLは40台のサーバからなるクラスタを運用しており、そのコストは$100,000 / 月ほどとのことでした。現在のTerra Classicコミュニティはそれを無償で利用している状態です。Jared氏が述べているように「インフラは非常に非効率的」であるため、ここではその50%のインフラをなんとか取得できたと仮定しましょう。よって、ここからの説明は$50,000 / 月のコストで計算をしていきます。

Terra RebelsとTerraCVitaの主張

2022年12月に提案11030「Rebel StationのTFLインフラ分離提案」が可決されました。大まかな概要としては、コミュニティプールから$150,000を予算として支出し、Terra Rebels独自のバックエンドアセット・インフラを構築するものです。

Rebel Station提案
Terra Classic「Rebel StationのTFLインフラ分離提案」が可決

Terra Classicチェーンのサポート・開発を行っているTerra Rebelsが提出していた提案11030が賛成多数によって可決されました。この記事では、提案のポイントと可決されたことによってどう変わっていくのかなどについてわかりやすく解説しています。

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このコストについては、Terra Rebels共同設立者の一人であるechel0n氏(@echel0n_)が「Neblioによる支援金ですでに支払われている」と提案公開後にTwitter上で行われた AMA で述べています。そしてTerra RebelsはすでにGoogle chromeの拡張機能を作成し、TFL以外のエンドポイントを使用してTerra Classicチェーンへのアクセスを可能にしています。

しかし、確証があるわけではありませんが、現時点でTerra RebelsのインフラはTerra Classicチェーンから得るすべてのトラフィックを処理することはできないだろうと私は考えています。もし、すべてのユーザー、DApps、プロジェクトが現状のTFLエンドポイントからTerra Rebelsエンドポイントへ切り替えた際、Terra Rebelsのインフラに大きな負荷がかかり、おそらく多くのスケールアップ(コストの増加)が必要となるでしょう。

1.0.4へのアップデート後、Terra Classicチェーンは「TFL のインフラが不安定になる」という大きな問題に悩まされました。今現在はバリデータであるTerraCVita(@TerracVita)が代替のエンドポイントを提供・管理をしており、TFLは Terra Station・拡張機能・アプリを切り替えました。これによって大きな問題は防がれたものの、すべての問題が解決されたわけではありません。その後のTFLインフラは安定し稼働をしているようです。

TFLからの分離によるインフラコストの問題

TFLインフラからの独立へと進む場合の選択肢は「コミュニティやTerra Classicチェーン内でサーバ費用を捻出」もしくは「第三者による資金提供」の2つしかありません。後者の場合の問題点は「第三者から資金提供を受けてまでTFLから離れるのか」という点です。

先ほども説明したように、すべてのトラフィックを処理するためにエンドポイントの実行するのは相当なコストがかかります。現在、Terra Classicのコミュニティプールは約14億LUNCと約75万USTCを保有しています。

これらの資産をあわせて現在のレートで米ドル価格に換算すると約220,000ドルになりますが、Edward Kim氏(@edk208)らによって立ち上げられた非営利組織「TGF (Terra Grants Foundation) 」は、可決された「助成金プログラム」のために7億5,000万LUNCの受け取りを計画しています。そして、それらは私が知る限り、現在まだコミュニティプール内に含まれています。ですから、実際には上記の金額の半分程度しかないのです。

非営利組織「TGF」設立
Terra Classic 助成金プログラムの設立を提案|Edward Kim

Terra RebelsのメンバーであるEdward Kim氏が2022年10月17日に公開した記事『Terra Classic 助成金プログラムの設立を提案』の内容を日本語訳した記事となります。

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つまり、コミュニティプールからは「2 〜 3ヶ月分しかインフラ費用を支払うことができない」ということです。このインフラ費用を維持できるだけの資金がコミュニティプールにあるわけではありません。

さらに、Edward Kim氏が公開した記事「No Money, Mo’ Problems?」で説明されている"L1開発作業(LUNA 2.0とのコード同等化、アップグレードなど)"のための必要な費用も考慮されていません。そのため、残された選択肢は一つしかないのです。

重要なことなのでもう一度言います。TFLから分離するということは「私たちのインフラ維持の資金は第三者に依存してしまう」ということです。

分散型インフラの提案

TFLのインフラを利用し続けた場合は?

私が知る限り、TFLはTerra Classicチェーンのサーバをすぐに停止するつもりはないようです。TFLはTerra Classicチェーン、コミュニティの成長を望んでおり、できる限りのサポートを続けると述べています。

このように、私たちは現時点では信頼することができる組織にサーバやインフラを運営してもらっています。だからこそ中長期的な計画を立てるために資金に回すことができるのです。

長期的な運用に向けた一つの提案

そこで、このインフラ問題について私の考えが一つあります。これが実行可能な方法かは分かりませんが、これを発信することによって素晴らしい知識・頭脳を持ったコミュニティメンバーに考えてもらいたいのです。

分散型チェーンのための分散型インフラ」があったとしたらどうでしょう?

すでにTerra Classicチェーンにアクセスするためのパブリックエンドポイントを提供する「TR」「TerraCVita」「バリデータ/ プロジェクト」などの存在がいくつかあります。ここでの主な問題点はフェイルセーフ(*2)な方法でこれらを使用するための中央エントリーポイントがないことです。クライアント、DApps、ソフトウェアのほとんどは、製品にハードコード(*3)された単一のURLを必要です。そして、ほとんどの場合は以下のようなコードになります。

(*2)フェイルセーフ:システムに不具合が発生した際、安全を優先させてシステムを停止させる方向へ向かうこと。
(*3)ハードコード:コンピュータプログラムを開発する際に、特定の動作環境を決め打ちして、その環境を前提としたデータをソースコードの中に直に記述すること。

{
  "code": 12,
  "message": "Not Implemented",
  "details": [
  ]
}

そこで、オープンソースの中央エントリーポイントを構築するための資金を私たちが提供できるとしたらどうでしょうか?例えば中央のURL、またはそれに適したものです。LCDエンドポイントを提供する各組織はこの中央ゲートウェイに自分のノードを登録し、分散型クラスタの一部になることができます。

もちろん検証・モニタリングは必要です。ゲートウェイのノードはブロック高、ブロックのハッシュなどをチェックし、クラスタに参加する各ノードが最新で信頼できることを確認します。新しいノードはゲートウェイに参加させる前に少し実行してみて「信頼性を証明」する必要があります。

つまり、Terra Classicチェーン自体、あるいはTerra RebelsやTerraCvitaなどは、ゲートウェイのヘルスチェックの基礎となる「信頼できるいくつかのノードを提供するだけ」でよいのです。ノードは世界中に存在しており、単一のクラスタやでデータセンターに存在しているわけではありません。

これが私のアイデアです。まったく機能せず上手くいかないかもしれませんが、これこそが「現在のTerra Classicチェーンに必要なもの」だと考えています。

『Infrastructure: An underrated issue for Terra Classic』の原文はこちら
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