Terra Classic(LUNC)

最も効果的なUSTCリペグのタイミングとは|Rabbi Jebediah

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※この記事は、Terra ClassicコミュニティメンバーであるRabbi Jebediah氏(@RabbiJebediah)が2023年2月3日に公開した提案『UST: The Promise That Failed (pt.1)』の内容を日本語訳した記事となります。

提案の要点

  • 投資家がUSTCに再び興味を持つようになるには「USTCのリペグ」が最善の策
  • 必ずぶつかる大きな障害は「トークンに付随する$100億の負債」
  • BTC半減期後の強気相場が見込めるタイミングでのリペグがベスト

USTCのリペグは最重要課題

今回は、USTC(Terra Classic USD)に関する一連の記事の第1弾です。これは、LUNC エコシステム 内でのその機能や役割、仮想的なUSTCリペグイベントから生じる可能性がある問題に焦点を当てています。今後の展開にご期待ください。

Terra Classic エコシステム(当時のTerra)の崩壊をもたらした2022年5月の暴落以来、USTCが熱い議論を呼んでいるのは周知の通りです。暴落後のLUNCコミュニティを悩ませる多くの問題の中で「USTCの ディペグ 問題」は依然としてリストの上位にあります。

暴落前の全盛期だった頃のUSTは、政府の監視や法定通貨の失敗から解放された「並列する分散型デジタル通貨」というビジョンを持って運営されていました。しかし、その約束は運命的なディペグ事件によって灰と化し、最終的に「Terra」は現在の「Terra Classic」に、そして「UST」は「USTC」に改名されました。

コミュニティの多くは、USTCの重要な役割とLUNCとの過去の共生関係を考慮した上で「たとえコストがかかろうとも、USTCはエコシステムのアルゴリズム型 ステーブルコイン としての本来の機能を取り戻さなければならない」と感じています。

現在、USTCの リペグ 構想にまつわる議論が活性化してきているので、USTCの現状と機能を多角的に分析しながら長所や短所、そしてその潜在的ユースケースの副産物として発生しうる未解決の問題などについて全体の状況を詳しく見ていく必要があります。しかし、その前にまず、運命的なディペグと暴落を招いたメカニズムを再確認しなければならないでしょう。

Terraのアルゴリズムが招いた惨事

暴落以前のTerraは、アルゴリズムによるステーブルコインコイン「UST」と、それに付随する「LUNA」を担保にするユニークなメカニズムを持っていました。このプロトコルによる ミント Burn(バーン)は、両者を微妙に均衡させながら、十分な 裁定取引 の機会(システム全体に対する有機的な ペグ 防衛)を提供していました。

Terraの Marketモジュール では「LUNA <> UST」スワップ がどのように機能していたのかを詳しく説明していますが、2022年5月の大幅な価格変動でLUNAがハイパーインフレになってしまった理由については「USTを1ドルにペグしようとするシステムの試みが成功しなかったから」と理解していれば十分です。

アトミックスワップ(*1)は全体の供給量を動的に拡大・縮小するように設計されたもので、「$1相当のLUNA」と「1単位のUST」をミントまたはBurnするための双方向スワップを行い、USTの価値を$1に維持しようとするシステムとなっていました。ですが、このシステム全体を安定的に維持するための機能が、最終的に歴史的な崩壊を招くことになったのです。

(*1)アトミックスワップ:取引所などの第三者を経由せず、異なるブロックチェーン上にある仮想通貨同士を直接交換する技術のこと

Terraとその PoS(Proof-of-Stake)の仕組みの複雑さについては、この記事の範囲を超えていますので、Terraエコシステムの一般的な仕組みについてのより深い説明については、こちらの YouTube動画 をご覧ください。

そして、暴落(USTのデススパイラルとLUNAのミント)についてのより詳しい内容については、こちらの YouTube動画 をご覧ください。

Terra Classicが抱える現在の問題点

LUNCエコシステムにおけるUSTCの潜在的な価値と、仮想的なリペグシナリオが正当化されるのかどうかが重要であり、LUNCのユニークな機能にとってUSTCが必要不可欠であることは明らかです。

また、リペグ成功後の継続的なスワップメカニズムによって、ハイパーインフレ状態にあるLUNCの供給量を管理可能な量に減らすことも極めて重要と言えます。この機能がなければLUNCは、暴落後のLUNA 2.0(現LUNA)のような単なるCosmosチェーンの1つに過ぎません。

同様にUSTCもLUNCに依存しており、両者はまさに共生関係です。LUNCは、USTCがなくてもLUNA 2.0のように価値の貯蔵として機能しますが、LUNCなしではUSTCはまさに水の泡と化します。ですから、USTCのリペグ計画はLUNCも保護する内容でなければなりません。LUNCはUSTCの担保となり、USTCはLUNCの供給を食い止めるために一方向のスワップで支え合うことができるのです。

より堅牢なリペグ案が求められる

LUNCコミュニティは「Terra Classicには明るい未来が持っている」という点に概ね賛同していると思いますが、6.9兆枚を超えるLUNC供給量は過剰であると言えます。また、1.2% Tax Burnは主にコミュニティ構築のためのものでしたが、反対派が何と言おうと最終的には良い影響を与えたことは明白となっています。

このTaxで問題となるのは「LUNCの供給量を減らす方法としてTax Burnのみに頼ることができない」という点です。BINANCEのような大規模なCEX(中央集権取引所)が オフチェーン 実装のサポートを拒否していますので有意義な方法ではありません。

もし私たちが強気相場の真っ只中にいるのなら、おそらくTax Burnはその重みをはるかに上回るでしょう。しかし、市場全体の冷え込みによる新たな投資の不足と相まって、単に十分なトークンBurnを生成するのに十分なボリューム(取引量)がありません。

現在のLUNCは、新しい強気相場が始まるか、何か大きな出来事(USTCのリペグ成功など)が起こるまで水面下に沈んでいる状態です。また、私たちのチェーンに対する投資家の信頼もまだ低いと言えるでしょう。

まずはTax Burnが1.2%から0.2%に引き下げられ、次にBINANCEがオフチェーンBurnの可能性を否定して勢いをなくし、最後に大手の取引所であった「FTX」が破綻し、結果として現在の空白期間が生まれました。この途方もなく不幸な一連の出来事を考えると、自己満足に陥る危険があるためこのような不愉快な真実は明らかにしなければなりません。

個人投資家や機関投資家がUSTCに再び興味を持つようにするための最善策が「USTCのリペグ」であることは明らかです。このようなイベントは、LUNCを仮想通貨市場で最前線に押し上げるために、私たちが育てるべき不死鳥再生のメタストーリーにもうまくはまるでしょう。しかし、それは正しく行われる必要があり、理想的なリペグイベントは「複数のベースをカバーすること」です。

https://twitter.com/rabbijebediah/status/1620491549539995649?s=46&t=fHQyd3og_hyk952aqesg8g

私が思うに、コミュニティは以下"すべて"の条件が満たされている場合にのみ、リペグプランを受け入れるでしょう。

  • USTCの債務を再構築する
  • その過程でLUNCを貧弱にしない
  • プロセスでLUNCを不安定にしない
  • USTC保有者の権利を剥奪しない
  • 自立(外部/CEXに依存しない)

さらに、道徳的な観点からより広い視野で状況を見てみると、私たちは暴落によって損害を受けた人々(暴落前のUSTC保有者)をできる限り助ける義務がありますが、暴落後の投資家に不利益を与えることはできません。

コミュニティの一部は、投機的な投資戦略のために後者を「ハゲタカ」と呼んでいますが、チェーンを支え、復活の可能性を与えたのは、間違いなく暴落後の資金であることを肝に銘じるべきでしょう。理想を言えば、エレガントで堅牢なリペグ案を設計し、誰もが健全な利益を得て黒字になるような方法を見つけたいものです。

法律面で考えるべきこと

法的な面から見ると、LUNCコミュニティは常に警戒を怠らないことが重要です。USTCをリブランディングして「アルゴリズム型ステーブルコイン禁止に関する規制法案 によって打撃を受ける可能性が低いもの」に変える必要があるでしょう(米国のステーブルコイン法案は、新しいアルゴリズム型ステーブルコインを2年間禁止する方針)。

また、USTCのオリジナルデザインには重大な欠陥があり、それをそのままにしておくと将来ディペグのシナリオが再度発生する可能性が非常に高く、LUNCもUSTCも叩き落されてしてしまうようなシナリオが発生します。

このステーブルコインを AFT(Algorithmic Fungible Token)にブランド変更すれば、迫り来る規制の嫌がらせを回避するのに大いに役立ちます。同時に、ベースとなるトークノミクスを再設計して強化し、はるかに弾力のある堅牢(少なくとも以前の破綻につながったタイプの攻撃に耐えられるもの)な形態にもできるでしょう。

そして、現在のLUNCコミュニティには「暴落前のUSTCホルダーに対して賠償をする必要があるのか?」という議論もあります。現在、賛成派と反対派の2つの派閥に分かれています。

賛成派は、USTC所有者は暴落によって一掃されたので「少なくともLUNCコミュニティからいくらか補償を受けるべき」と主張しています。反対派は、暴落前のUSTC保有者に対して、2022年5月のフォーク後に TFL(Terraform Labs) が発行したLUNA 2.0エアドロップによって既に公正な補償が行われたため「現在のLUNCコミュニティには何の義務もない」と考えています。

時間が経過しているにも関わらず、この問題は依然として熱く議論されています。

ステーブルコインのコンセプト改善提案

USTは、TFLと Do Kwon氏 によって「ステーブルコイン」として宣伝されたにも関わらず、結果的にそうではないことが証明されました。ここでの問題は単純で「それは本当に私たちのエコシステムが必要とするものなのか?」という点で、最近の歴史は、皮肉にもステーブルコインが非常に不安定になりがちであることを証明しています。

しかし、もし優れた設計でステーブルコインのコンセプトを改善できたとしたらどうでしょう?それはリペグイベントに伴うリスクを正当化できるでしょうか?

例えば、ペグを「$1」として扱うのではなく、緩やかな勾配で段階的に設定していくのはどうでしょうか。また、ペグを一定間隔で維持することを目的とした トランシェ システムの代わりに、ペグを曲線上に有機的に支えるために、ほぼ無限の流動性を供給することができるとしたらどうでしょうか。そして、ペグ防衛のプロセスそのものにインセンティブを与えることで、システムのディペグ状態から救うことができたらどうでしょうか。

これらのことを総合すると、比較的不安定な「ステーブルコイン」の代わりに「耐久型コイン」を作ることができるとしたらどうでしょうか?つまり「Resilient Algorithmic Fungible Token(RAFT)」です。

これについては、次回の記事で詳しく説明します。

「USTCのリペグ」における現在の状況

事実として、TR(Terra Rebels) は7ヶ月以上、統一されたUSTCリペグのホワイトペーパーを作成することができませんでした。そして、他のすべてのコミュニティの努力は中途半端なものでした。その中で最も堅牢な提案は、Alex Forshaw氏 がTRに在籍中に提出したものですが、最初はミント、次に オラクルプール を利用することでスタートアップ資金を調達しました。ですが、それは暴落時にシステム全体を破壊したアルゴリズム設計と同じメカニズムに依存していました。

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Duncan Day氏(@wrapped_dday )、Redline Drifter氏(@RedlineDrifter)、Tobias Andersen(@ZaradarBH)などの一部のソロプレイヤーは部分的な解決策を提供しましたが、現時点でどれも完全にホワイトボード化されたり、完全に具体化されたものではありません。そして他のどのコミュニティも、この重要な問題の解決に近づいてはいないのです。

USTCのリペグ問題についてはさらなる解決策が必要で、このような取り組みはコミュニティ内で追及され続けています。なお、執筆時点(2023年2月3日)では、Duncan Day氏の「Ziggy」案がリードしており、ガバナンス の試練を無事に通過しそうな状況にあります。

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0億の不良債権について

次に、リペグ構想が必ずぶつかる大きな障害は、USTC自体をリペグするだけでなく、ペグ状態を維持させながら、トークンに付随する$100億の負債を吸収することです(資本逃避は$1まで起こり得る)。

仮にUSTCを暴落前の最高値($1.03442)に押し戻すのに十分な担保を調達してリペグイベントを成功させることができたとしても、市場に見捨てられて再び地盤沈下しないようにするにはどうすればいいのでしょうか?今度こそLUNCは永久に終わってしまうのでしょうか?投資家の信頼はすでに低く、これ以上のディペグやハイパーミントは、アルゴリズム設計のアイデア全体に死の鐘を鳴らすことになります(LUNCは前述したように、供給を食い止める必要がある)。

つまり、この「不良債権」を考慮していないリペグプランは、多かれ少なかれ潰れるものと考えています。それでは$100億の負債をどうすれば資本や流動性の源泉にできるのでしょうか?理想を言えばその両方ですが、USTCの最大の弱点をその上昇の原動力となる強さの源泉に変える方法はないのでしょうか?さもなければ、この負債の壁がリペグ成功の主な障害となる可能性があります。

もう一つのポイントは、タルタロスの深淵からUSTCを引き上げようとすることは、最高のタイミングであったとしても大変な仕事であるということ考慮していない人が多い点です。我々はまだ奈落の底にいて、終わりの見えない中にいます。

この点に関して私は「BTCの半減期の後まで待つ方が賢明ではないか?」と考えています。そうするとその後の強気相場で、他の市場と共に我々も上昇することができるはずです。新鮮な流動性は過小評価されるべきではありません。なぜなら、USTCがリペグした瞬間、あるいは少しでも上昇を始めた瞬間の「裁定取引 / Dex / DeFi」程度では、$100億の負債(資本逃避リスク)が吸収できるだけの担保を調達できる可能性が低いからです。

これにはもっと堅牢で創造的な解決策が必要で、おそらく、一般的なリペグ / アルゴリズム設計の問題を別の視点から見るソリューション(ゲーム理論や有機的に広がる利益インセンティブを優先するもの)ではないでしょうか?

復活させるための債務再編

Edward Kim氏Alex Forshaw氏 らが共同執筆した2022年9月の 記事 で書いているように、ビジネスの観点から、分散型アルゴリズムステーブルコインを復活させるための債務再編は、以下の場合にのみ意味があります。

  • 主要な柱(分散型準備金と資本規制)は「古いTerra Classic」よりもはるかに失敗を防ぐことができる
  • これらの努力は、おそらく資金を提供するであろうLUNCコミュニティを壊すことはない
  • 資本規制が完全に失敗した場合でも、その準備金でデススパイラルを防ぐことができる

さらに以下のように付け加えられています。

おそらく最も重要なことは、分散型ステーブルコインを復活させ、大幅に改善することで「仮想通貨の最大の敗北の1つをデジタル資産の歴史の中で最も見事に好転させることができる」ということです。

私たちの限られた手段で、暴落時にUSTを保有していた不運な人たちに救いの手を差し伸べ、新しいプロトコルがうらやむほどの顧客獲得コストで、彼らを再び仲間に加えることができるのです。

ビットコインの半減期後がベストタイミング

現在のLUNCは崩壊寸前まで損傷したガレオン船のようなもので、私たち保有者は皆、貧困列島に取り残されている状態です。私たちの手段は限られており、希望は儚く、機会の窓は縮小しています。

LUNCという船が危機的な状態にある間、コミュニティはグループ間の些細な違いで互いに言い争うのに忙しい様子なので、しばらくはそのすべてを無視するのが賢明でしょう。BTCの差し迫った半減期は強気相場の良い予測因子となっていますが、より広いグローバルな視点では私たちに対して非常に不利な状況にあると言えます。

リペグイベントを多少延期し、BTC半減期後の強気相場が到来するタイミングに合わせることができればより大きな利益を得られる可能性があるため、リペグイベントを試みるのに最適なタイミングをじっくり考えるべきでしょう。

とはいえ、将来的に実現するような努力は今のうちから行う必要があります。これはこの記事の目的の1つです。今日からこの作業に取り組むことができれば、BTCの半減期に間に合うかもしれません。

両方が一致すればLUNCとUSTCが共同でロケットを推進することができ、USTC保有者は完全な利益を得られ、LUNC投资家は夢のような莫大な富を得られるかもしれません。

それまでは、希望と楽観を持つことが私たちにできる唯一のことです。

まとめ

USTCには解決策が必要ですが、結果に関わらず「この眠れる巨人に驚くべき潜在能力があること」は確かです。そして、LUNCコミュニティは、自分たちの責任で努力する必要があります。誰も救ってはくれず、誰も助けには来てくれません。

それが仮想通貨のすべてではないでしょうか?伝統的な機関の権威主義的な行為によって妨げられないように、純粋な意志と抵抗によって不確実性の中で自分の道を切り開き、自由に選択する運命を持つことが重要です。それに伴ってすべての危険と報酬が発生します。

お読みいただきありがとうございました

NovaValidator のBilbo Baggins氏(@OhhBilboBaggins)の思慮深い意見と私たちの深夜の会話に感謝します。また、SolidSnakeとOrko(Terra Allies)には、上記のコンセプトの多くを具体化するために協力してもらいました。

次回は、USTCのリペグを想定したシナリオと、その成功のために必要なことについて、深く掘り下げていきたいと思います。

それまでは、Terra Alliesの Discordサーバー に参加して、LUNC、USTC、仮想通貨全般に関することを自由に議論してください。

『UST: The Promise That Failed (pt.1)』の原文はこちら
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この記事は、Terra Classicの著名な開発者であるDuncan氏が2023年1月29日に公開した提案『USTC Re-Peg: Ziggy(Final)』の内容を日本語訳した記事となります。

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