この記事は、Terra Classicの著名なコミュニティメンバーであるStrathCole氏(@ColeStrathclyde)、Happy Catty Crypto氏(@HappyCatKripto)が2023年8月24日に公開した提案『Dynamic Minimum Commission based on Voting Power』の内容を日本語訳した記事となります。
提案の要点
- この提案は「バリデータのVoting Powerによって変動する動的な最低手数料の導入」を目指している
- Terra ClassicチェーンにおけるVoting Powerの集中化は憂慮すべき問題である
- 各エポック終了時のVoting Powerに基づいて最低手数料が自動調整される
提案の目的
この記事の執筆時点でナカモト指数が "4" である Terra Classic(LUNC)ネットワーク内で進行中の集中化されたVoting Power(投票権)の問題に対処するために、この提案は「バリデータ のVoting Powerによって変動する動的な最低手数料の導入」を目指しています。
また、この取り組みは「より良い分散化を促進し、集中化による潜在的な脆弱性からネットワークを保護すること」を目指しています。
提案の背景と問題提起
Terra ClassicチェーンにおけるVoting Powerの集中化は "憂慮すべき問題" となっています。
新たに5%の最低手数料設定を導入したにも関わらず、トップバリデータはVoting Powerをさらに強化し、以前よりも集中化が進んでいます。
このような集中化には以下のような差し迫った問題があります。
- ネットワークのセキュリティと信頼性を危うくする
- 小規模なバリデータにとって障壁となり、参加を躊躇させる
- LUNCが掲げる分散化の原則に真っ向から反する
注目すべき懸念点は「著名な外部組織がこの中央集権化について重大な懸念を表明している」ということです。これは早急な対策が必要であることを示しています。
提案の詳細と最低手数料の計算例
私たちは、バリデータの最低手数料がVoting Powerに直接影響される "定型的なアプローチ" を提案します。
計算式は以下の通りです。
最低手数料 = (VP-1) * (A + (VP / B))
ただし、最低手数料の上限は20%とします。
条件として
- AとBは一貫した数値である
- Voting Powerはバリデータの現在の数値
- Aの初期値は1.5(推奨)
- Bの初期値は20(推奨)
【例】
Voting Powerが2%の場合
最低手数料 = (2%-1) * (1.5 + (2 / 20)) = 1.6
Voting Powerが10%の場合
最低手数料 = (10%-1) * (1.5 + (10 / 20)) = 18
つまり、バリデータのVoting Powerが高まるにつれて、より高い最低手数料が要求されることになり、新しいバリデータや人気のないバリデータには、より低い手数料で競争するチャンスが与えられることになります。
動的な最低手数料のメカニズム
バリデータが手数料を設定すると、各エポック終了時のVoting Powerの変化に基づいて手数料が自動調整されます。
例えば、あるバリデータが手数料を2%に設定し、次のエポックまでにそのVoting Powerが3%に上昇した場合、そのエポック終了時に手数料は「3.3% 」に自動調整されます。
逆に、次のエポックでVoting Powerが1%に下がった場合、コミッションは設定したレートより自動で下がることはなく、以前のレートである2%のままとなります。
これにより、分散化を維持するために手数料が自動的に上昇する一方で、バリデータは突然の減少から保護され、安定性と予測可能性が確保されます。これらのメカニズムに基づく調整は、1エポックに1回行われます。
この実装のチェーン更新中、すべてのバリデータの最大手数料設定は (低い場合は) 20%に引き上げられます。これは、5%の最低手数料が導入されたときに行われたことと同様です。
また、チェーンにバリデータを追加する場合、最大手数料を20%未満に設定することはできません。
動的最低手数料のメリット
- 分散化の促進:支配力の弱いバリデータはより魅力的な手数料を課すことができ、幅広いデリゲータを誘致することができる
- ネットワークセキュリティの強化:分散化を促進することで、攻撃や操作に対するネットワークの脆弱性を低減することができる
- 本質的な柔軟性:AおよびBのパラメータは、状況や課題の変化に応じてガバナンスを通じて動的に調整することができる
今後の調整について
A 値と B 値を定期的に評価することが重要です。調整の提案は次の影響を受ける可能性があります。
- 現在の分散化のレベル
- バリデータおよびデリゲーターからのフィードバック
- ネットワーク全体の安定性とパフォーマンス指標
結論
動的な最低手数料メカニズムは本質的に、設計によって分散化を促進します。これにより、LUNCの中核となる原則が維持されるだけでなく、その回復力も強化されます。
提案されたメカニズムの注目すべき欠点は、提案されたメカニズムを実装するために L1 開発作業が必要なことです。基礎層でのこのような変更には複雑な変更が必要となる可能性があり、時間とリソースを必要とする可能性があります。
なお、この提案には、すべての専門用語を避けた非常に簡略化された バージョン が用意されています。投票にかけられる提案は、このオリジナルのものが利用されます。
共同署名者:StrathCole & HappyCattyCrypto
『Dynamic Minimum Commission based on Voting Power』の原文はこちらTerra Classicチェーンの統一されたビジョン|StrathCole・Happy Catty Crypto
この記事は、Terra Classicの著名なコミュニティメンバーであるStrathCole氏、Happy Catty Crypto氏が2023年8月18日に公開した提案『Terra Classic Expedition: A united vision』の内容を日本語訳した記事となります。
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