LUNC（Terra Luna Classic）やUSTC（Terra Classic USD）の価格が暴落した後、LUNCやUSTCを保有していた一部の投資家からはTerra共同創設者であるDo Kwon（ドゥ・クウォン）氏に対する批判的が声が相次いでおり、一部では『Do Kwonは詐欺師だ』という声も出ている。
この記事は、そんなDo Kwon氏に対する批判的な意見と肯定的な意見の両方を踏まえながら『Do Kwon氏は詐欺師なのか？』という問いに対する筆者の考えをまとめている。
Do Kwon（ドゥ・クウォン）氏について
Do Kwon氏（本名：Kwon Do-hyung・권도형・權渡衡・クォン・ドヒョン）は1991年9月6日に生まれた韓国の暗号資産開発者であり、シンガポールを拠点とする暗号資産関連企業「Terraform Labs」の共同設立者・CEOとして知られている。
Terraform Labsは、アルゴリズム型 ステーブルコイン「UST」やネットワークトークン「LUNA」を特徴とする「Terraブロックチェーン」を開発・運営している企業として知られているが、2022年5月にUST・LUNAの価格が暴落したことによって世界中の投資家たちから批判の声が殺到、Do Kwon氏に対しても批判的な声が相次いだ。
本来「1UST＝1USD」として価格が安定するはずのUST価格は一連の騒動で1セント以下にまで暴落しており、UST価格を支える役割を持つLUNA価格も99％以上暴落したため、このような事態を受けたTerraform Labsは即座に『ステーブルコイン無しの新チェーンを立ち上げる』という対応を実施、これによって「UST・LUNA」は「USTC・LUNC」という名称に変更され、新チェーンの暗号資産が「LUNA」と呼ばれるようになった。
この「Terra復興プラン」はコミュニティ投票を経て実行されたものの、USTC・LUNCの復興・価格回復を望んでいた一部の投資家などは『新チェーンを立ち上げる』という選択に納得しておらず、一部では『Do Kwonは詐欺師だ』『金を返せ』などといった批判の声も出ている。
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Do Kwon氏に対する批判や告発
Do Kwon氏を詐欺師だと批判する声は国内外で多数見られるが、海外では特に多くの批判的な意見が出ている。TwitterなどのSNS上では様々な場面でそのような批判コメントが投稿されており、Do Kwon氏のコメントに対して『まずはUST保有者に金を返せ』とツイートするケースなども確認されている。
また、匿名の内部告発者である「FatMan（@FatManTerra）」氏も『Do kwon氏はLUNC崩壊前に3年間に渡って毎月8,000万ドル相当の暗号資産を現金化し、合計約27億ドルを得た』と告発している。
Do Kwon氏に対する批判は世界的に有名なハッカー集団「Anonymous（アノニマス）」からも出ており、2022年6月27日にYouTube上で公開された『Anonymous Message to Do Kwon』という動画の中では、アノニマスがDo kwon氏に対して『Kwonの行動は傲慢で、マネーロンダリングに関わる詐欺師そのものだ』『可能な限り早く裁く』とコメント、「LUNC暴落前にKwon氏が毎月8,000万ドルを現金化していたこと」や「Kwon氏が過去に関与したとされる不正行為」なども指摘されている。
なお、同様の指摘・批判は他の個人などからもでており、Do Kwon氏に関する調査には韓国政府や米国政府も乗り出していると報じられている。
Do Kwon氏は現金化疑惑を否定｜自身を「失敗者」と表現
このようにDo Kwon氏を詐欺師だと批判する意見は世界中で数多く出ているものの、Do Kwon氏本人は「毎月8,000万ドルの現金化疑惑」について『過去2年間の収入はTerraForm Labs（TFL）からの現金給与のみだ』と否定、不要な糾弾を避けるためにトークンの創業者割り当ての受け取りを延期したことも明かし、『被害者面をしたくないのであまり言わなかったが、私も暴落で資産をほとんど失った。何度も言っていることだが、私は本当にお金のことをあまり気にしていない』ともコメントしている。
また、同氏はLUNC暴落後に行われた「The Wall Street Journal」とのインタビューの中で『私はUSTの復活と価値を信じて自信を持って賭けたが負けた。自分の言葉と行動は一貫している。失敗と詐欺とは違う』と弁明して、自身のことを「詐欺師」ではなく「失敗者」だと表現している。
この他にも、自身の資産や投資家の損失については『破綻後ほとんどの財産を失ったが、それは大した問題ではない。なぜなら私は質素な生活を送っているからだ』と語り、『投資家が被った損失については申し訳なく思う』とコメントしたことなども報告されている。
このようにDo Kwon氏は世界中から批判の声があがっている中で複数のメディアのインタビューに応じながら弁明を行っており、新たに立ち上げた「LUNA 2.0」についても強い自信を示している。
Do Kwon氏の重要性を強調する意見も
Do Kwon氏を詐欺師だと批判する意見は国内外から多数出ているものの、一部では「LUNC・USTCの復活においてDo Kwon氏の存在は非常に重要である」として、Do Kwon氏の重要性を強調する意見も出ている。
「1.2％ Burn TAX」などの内容を含んだLUNC改善提案『Luna Classicの緊急管理・復旧について』の執筆などでも知られるDiscordグループの下で自己組織化されたコミュニティ「Terra Rebels」も、改善提案の中でDo Kwon氏が率いる「Terraform Labs（TFL）」とコンタクトを図っていることを説明しており、『TFLと連絡が取れればシステムの改良は桁違いに早くなるはずだ』と述べている。
私たちは、今後もTFLとコミュニケーションをとる努力を続けていきます。私たちは、これは共生関係になりうると考えています。TFLはコードベースを維持する開発者のコミュニティを持ち、TFLはTerraブロックチェーンの微妙な仕組みを含む、4年間に行われた40万件のコードコミットに対する洞察を提供することができます。TFLと連絡が取れればシステムの改良は桁違いに早くなるはずです。しかし残念ながら公式発表がないため、私たちはTFLがすでにチェーンを放棄したという前提で動いています。
先述したようにDo Kwon氏に対しては詐欺師だと強く批判する意見も多く出ているため、コミュニティでは「Do Kwon氏のLUNC・USTC関与」を望まない声も出ているが、Do Kwon氏やTerraform Labsは大きな知名度と影響力を有しているため、Do Kwon氏の今後の動きには現在も注目が集まっている。
結論
LUNC・USTCの価格暴落によって世界中で非常に多くの投資家が大規模な金銭的被害を受けているため、Terra（LUNA）の共同創設者であるDo Kwon氏が「詐欺師」だと批判されるのは当然の結果だと考えられる。
しかし、多くの詐欺師が突然売り逃げしたり、ユーザー資産を持ち逃げしたりして行方をくらますのに対して、Do Kwon氏は暴落後もLUNA 2.0でプロジェクトを継続し、複数メディアにも出演して弁明を続けているため、そのようなことを総合的に判断すると現時点でDo Kwon氏を「100％詐欺師だ」と断定することはできないだろう。
仮想通貨業界には現在もLUNA・LUNC・USTCを保有している投資家が複数存在しているが、仮にDo Kwon氏が詐欺師だと正式認定された場合には、LUNA・LUNC・USTCの価格がさらに暴落し、より多くの投資家に被害がもたらされることになると予想される。
Do Kwon氏を擁護するわけではないが「同氏が現在も暗号資産関連の活動を続けていること・メディアなどにも出演していること・LUNCやUSTCの復活に向けた活動がコミュニティで続けられていること・復活を信じてそれらの仮想通貨を保有している投資家が多数存在していること」などを考えると、現段階でDo Kwon氏を詐欺師だと決めつけて批判することにはあまりメリットがないように感じられる。
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