この記事は、Terra ClassicのL1開発チーム「L1 Task Force」プロジェクトマネージャーであるLuncBurnArmy氏(@luncburnarmy)が2023年6月3日に公開した提案『L1 Task Force v2.1.0 Upgrade Proposal』の内容を日本語訳した記事となります。
提案の要点
- v2.1.0は「パリティ」「最低手数料5%」などが含まれる
- 2023年6月7日にガバナンス提案を始める予定
- 2023年6月15日 2:21頃(日本時間)にチェーンを停止・実装予定
Terra Classicはv2.1.0によってパリティへ
これは、リリースv2.1.0に向けた ガバナンス 提案に含まれる項目の要約で、Terra Classic(LUNC)チェーンに対して以前にガバナンスが承認した機能を含んでいます。
バリデータ に対する最低5%の手数料や、Cosmwasm v1.1.x(Cosmos上で スマートコントラクト を動作させるためのモジュール)、さらには2つのセキュリティ更新が含まれます。
今回のメジャーリリースは、アップグレードガバナンス提案の仕組みを利用し、チェーンのアップグレードを行う3回目のリリースとなります。
この提案では、ブロック13,219,970(2023年6月15日 2:21頃 ※日本時間)でチェーンを停止します。提案に掲載されているブロックの高さは、アップグレードの日が近づき、ブロック時間の計算がより正確になるにつれて変更される可能性があります。
この提案が通過すると、予定されたブロックの高さにおいて、すべてのフルノードとバリデータは現在のアップグレードバージョンv2.1.0をインストールして実行するまで続行することができません。
v2.1.0アップグレード内容
以下は、terradバイナリ(Terraチェーンのソフトウェア本体)の内部動作に直接影響を与え、ブロックチェーンとそのデータのメカニズムと外部アクセシビリティに影響を与える機能のリストです。
- Wasmvmがv1.1.2にアップグレード
- Wasmdは修正されたv0.30.0にアップグレードし、新しいwasmはスマートコントラクトにマルチチェーン機能を提供
- 新しい classic bindingsライブラリ
- IBCをv4.3.1へアップグレード
- すべてのバリデータに対する最低5%の手数料
- 手数料バグを修正
以下のリストは、v2.1.0リリースのコミット履歴をまとめたものです。
【Wasmd】
【cosmos SDK v0.45.14-classicのカスタマイズ】
【コアのコミット】
実施済みのテスト
【5%の最低手数料テスト】
- ステーキングモジュールの単体テスト
- Classic-terra移行テスト
※ Classic-terra core とステーキングのサブコマンドを実行してマイグレーションをチェックする - Rebel-2テストネットアップグレード後のテスト済み
※ バリデータセットには1%の手数料バリデータ、10%の手数料バリデータ、およびさまざまな最小および最大手数料設定を持つ他のバリデータが含まれていた
【Cosmwasm v1.1.0】
【スマートコントラクトテスト】
- v2.1.0の互換性テスト用のカスタムテストネット(Bajor-1)を作成済み
- Bajor-1で既存のスマートコントラクト、新しいスマートコントラクトのテスト済み
- 5月31日のアップグレード後にRebel-2でスマートコントラクトのテスト済み
【アップグレードテスト】
- いくつのバリデータがRebel-2テストネットに参加し、メインネットの前にリハーサルアップグレードを実施
- v2.1.0のテストネットアップグレードは6月1日 1:00(日本時間)に実施され、アップグレードは無事成功
その他の注意事項
現在推奨されているGo(プログラミング言語)のバージョンは1.17から1.18です。Go 1.19はまだサポートされておらず、現時点では使用すべきではありません。
このアップグレードは、Cosmwasm v1.1.0のメジャーバージョンアップグレードです。スマートコントラクトは、アップグレードおよび移行の観点からテストされています。
スマートコントラクトの所有者は、リスクを軽減するためにアップグレード前にすべての「シールドコントラクト」を更新するべきです。値が "null" の場所には作成者が配置されるように最善を尽くしますが、アップグレード前にシールドコントラクトを更新しない古いコントラクトの機能を保証することはできません。
『L1 Task Force v2.1.0 Upgrade Proposal』の原文はこちら