この記事では、LuncBurnArmy氏(@luncburnarmy)が公開しているTerra Classicの開発チーム「L1 Task Force(L1タスクフォース)」2023年第1四半期の活動報告を紹介しています。
記事の要点
- 最新の「L1 Task Force」の活動情報
- 定期的に情報の更新・公開を行うことで、開発プロセス全体を通じて「公開性と透明性」を確保
「L1 Task Force」活動報告書の概要と目的
以下の内容は、2023年1月1日からの「L1 Task Force」活動の最新情報を提供するものです。
2023年1月の第1週にAgora提案11168が ガバナンス を通して承認され、L1 Task Forceへの第1四半期の指令が与えられました。
Terra Classic開発チーム「Joint L1 Task Force」今後のための予算提案:Edward Kim
この記事は、著名なTerra Classic開発者であるEdward Kim氏が2022年12月24日に公開した『「Joint L1 Task Force」今後のための予算提案』の内容を日本語訳した記事となります。
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2023年の最初の週は、チームに必要な「第1四半期に提供される各アイテムのタスクの詳細リスト」を作成し、洗練させることに焦点を当てました。さらに、第1四半期の主要リリースを確認し、目標とするマイルストーンの日付を設定しました。
このオンボーディング(教育)週間に、早速開発作業が開始されました。そして、最初のスプリント(開発の1つの期間単位)が始まる前に、いくつかの開発項目が完了状態に移行されました。
提案11168には「2022年第1四半期の目標」が明確に示されています。隔週で発行される状況報告書は「現在の状況・開発の進捗状況・予算支出・今後のマイルストーン提供」など、作業範囲に対して追跡する最新情報を提供することを目的としています。
定期的に更新を行うことで、開発プロセス全体を通じて「公開性と透明性」を確保することができるはずです。
また、Twitterで2回の AMA を実施し、1回目は「開発チームへの支払い方法の概要を説明(1月19日(木)予定)」2回目は「その月の開発実績を紹介(2月1日(木)予定)」する予定です。
第1四半期ロードマップとリリースマイルストーン
第1四半期の開発・リリースロードマップは「主要な開発活動・マイルストーン・目標リリース日」を視覚的に表現するために作成されたものです。
これらは、チームが積極的に取り組んでいるタイムラインと日付です。このタイムラインは必要に応じて更新され、新しい機会や新しい問題が発見された場合にも更新される予定です。
現在、「L1 Task Force」は、第1四半期のすべての目標マイルストーンを予定通り達成する予定となっています。(※ リリース v1.0.6 は v1.1.0 に、リリース v2.0.4 は v2.0.0 に名称が変更されています。
第1四半期の主なリリースは以下の通りです。
- Classic v1.0.5 Hotfix
- Classic v1.0.5 Binance Whitelist
- Cosmos SDK v0.45.11へのアップグレード
- Tendermint v0.34.24へのアップグレード
- Classicリリースv2.0.4
完了しているアクティビティ(スプリント#1開始前)
- テスト ノード 実行のためのクイックスクリプトを追加
- GitHub Actionが起動されない点を修正
- 修正(filtered_pagination):Cosmos-SDK PR 11408のバックポート ; ページ番号が1つずれる問題を修正
- Github Actionが実行できないバグの修正
- github.com / CosmWasm / wasmvm を0.16.6から1.1.1にバージョンアップ
- genesis jsonからwasmをパージするコマンドを"makefile"に追加
- Burn Taxのgofumpt'ing(Burn Taxのアンテハンドラのコードの影響のクリーンアップ)
- Eds propのアンテハンドラに"Burn Tax split"を追加
- プロセスおよび各アイテムのタスク詳細リストの確立
- コミュニティ監視委員会の設立
- Burn Taxの50%をコミュニティプールに、50%をトレジャリーBurnウォレットに送るようアンテハンドラを調整
- actions/setup-goを3.3.1から3.5.0にバージョンアップ
- actions/cacheを3.0.11から3.2.2にバージョンアップ
スプリント#1(1月9日 ~ 1月20日)
現在、すべての項目が予定通り、かつ予算内で実施されています。
完了タスクの詳細は L1スプリント#1のプロジェクトボード で閲覧することができます。
スプリント#2(1月20日 ~ 2月3日)
スプリント#2では、クラシックリリース「v1.0.5」がバリデータと中央取引所にデプロイされました。リリース「v1.0.6(ガバナンスに依存)」は2月中旬にリリースされ、3月1日より前に稼動する予定です。
完了タスクの詳細は L1 Sprint #2のプロジェクトボード で閲覧することができます。
スプリント#3(2月6日 ~ 2月17日)
このスプリント#3は最も生産的なものの1つで、クラシックリリース「v1.0.5」は2月14日に無事稼動し、スプリント中に大量の作業を完了させています。
チームは現在、構造化されたプロフェッショナルで結束力のあるユニットとして活動しており、Q1「L1 Task Force」のガバナンス提案に記載されたQ1成果物の完成に向けて完全に軌道に乗っている状態です。
リリース v1.1.0 は順調に進んでおり、ソフトウェアガバナンスのアップグレードとしてリリースされる予定です(2月21日予定、2月28日稼動予定)。
完了タスクの詳細は L1 Sprint #3のプロジェクトボード で閲覧することができます。L1 Sprint #4のプロジェクトボード では、リアルタイムの進捗を確認することができます。
スプリント#4(2月20日 ~ 3月3日)
スプリント#4で「L1 Task Force」はBINANCEのホワイトリスト機能、およびBurn Taxの分割を実装し、2月28日に稼働しました。このことによってBINANCEはアップグレード後、3月LUNCのBurnを再開させました。
BINANCE「LUNC現物・証拠金取引の取引手数料バーン」を発表
BINANCE(バイナンス)は2022年9月26日に、LUNC現物取引・証拠金取引における全ての取引手数料をバーンするメカニズムを実装することを発表しました。今回の発表を受けてLUNC価格は大幅上昇しています。
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アンテハンドラーのアップグレードは、LUNCを再 ミント することなく、コミュニティプールに資金を供給する方法を提供します。
また、3月のv2.0.0リリースと第2四半期初めのCosmwasmアップグレードのための今後の主要マイルストーンについても重要な作業が完了しました。
進行中のタスクやインレビューのタスクはすべてスプリント#4にロールオーバーされます。
L1スプリント#4のプロジェクトボード は、GitHubでリアルタイムに確認することができます。L1スプリント#4プロジェクトボードは3月13日、スプリントプランニングセッションの後に更新される予定です。
【「v1.1.0」アップグレード後のレビューと教訓集】
- 現在、2月28日に行われたアップグレードの手順を見直し、次回のアップグレードに向けたプロセスの改善方法をよりスムーズに行うための事後レビューが行われています。
- L1チームはL1機能のアップグレードとテストに責任を持ち、L2アプリケーションには責任を持たないことに留意する必要があります。また、L2アプリケーションプロバイダー(ウォレットプロバイダーとdAppプロバイダー)は、アップグレード前のアプリケーションのテストとプルリクエストの実施に責任を負います。
スプリント#5(3月6日 ~ 3月17日)
スプリント#5において「L1 Task Force」はv2.0.0リリースに必要な作業の大半を完了させました。v2.0.0のリリースは3月末に予定されており、Cosmwasmのアップグレードは第2四半期初頭に予定されています。
上の画像はスプリント#5終了時の状況です。進行中のタスクやインレビューのタスク(現在テスト中)は、すべてスプリント#6にロールオーバーされます。
完了タスクの詳細は L1スプリント#5のプロジェクトボード でリアルタイムに確認することができます。L1スプリント#6プロジェクトボードはスプリント計画セッションの後に更新される予定です。
スプリント#6(3月20日 ~ 3月31日)
スプリント#6において「L1 Task Force」はv2.0.0リリース候補に必要な項目を完了しました。v2.0.0のメジャーチェーンアップグレードは、強化されたテストネットでのテスト終了後、第2四半期初頭に予定されています。チームは、厳格なテストネットテストを可能にするために、バリデータの30%がテストネットバリデータをセットアップすることを目標としています。
残りの進行中およびレビュー中の項目は、第2四半期に展開される予定です。レビュー中の項目はすべて(Oracle with Sha256 key pull-requestを除く)、主にCosmwasm v1.1.0のアップグレードに関連しています。
L1 Sprint #6の プロジェクトボード はリアルタイムに確認することができます。
第1四半期「L1 Task Force」実績一覧
2023年1月実績
- L1チームのプロセスおよびプロダクトバックログ確立
- このL1チームのために、信頼できる第三者による「コミュニティ監視委員会」の設置(PFC、DJTrev、StrathCole)
- ソフトウェアのアップグレードガバナンス提案を活用するためのアップグレードハンドラー導入の可能性を検討
- 現在の「バージョンマップ」の状態を評価し、システムの現状を反映させるためにどのようにパッチを当てるかを決定
- 「バージョンマップ」が修正できない場合の「フォールバック戦略」を維持するため「ジェネシスインポート」の問題への取り組みを継続
- 「Burn Tax」の50%をコミュニティ・プールに、50%をBurnウォレットに送るよう、アンテハンドラーを調整
- 認証モジュールの "estimate-fee" クライアントロジック(LCD)をテスト / アップグレードし、Burn Taxが正しく計算されることを確認
- IBC denomのホワイトリストをテスト / アップグレード
- 正規のGitHubレポがない場合のガバナンス提案(Agora投稿)
- testnetのテスト、プッシュ、バージョン1.0.5のアップグレード
- mainnetのテスト、プッシュ、バージョン1.0.5でのアップグレード
2023年2月実績
- バックエンドの速度向上のため「PebbleDB / BadgerDb」を検討し「goleveldb / rocksdb」のサポートを終了
- 「iavl 0.19.4」で「iavl fast node」に移行の延期(コミュニティの議論が必要)
- ソフトウェアアップグレードガバナンスの提案を利用するためにアップグレードハンドラを実装
- 将来のチェーンアップグレードにコスモバイザーを使用する可能性を評価
- CosmosのSDK v0.45.11にTFLパッチを適用し、Oracleをサポートするようにチェーンをテストアップグレード
- Tendermint v0.34.21とTFLパッチでオラクルをサポートするチェーンにテストアップグレード
- Cosmos45.11とTendermint v0.34.21との互換性を確保するために、ClassicチェーンのインフラとL2ウォレットプロバイダー / パートナーと密接に連携
- Mev-Tendermintのガバナンスを提案をパス(技術的な判断により現時点ではMev-Tendermintを進めることはないため必要なし)
- テストネットのテスト、プッシュ、バージョン2.0.4へのアップグレード(リリースをv2.0.0名に修正) より大きなテストネットバリデーターセットの検討。
- v2.0.0を4月第3週または第4週のメジャーバージョンアップ目標に設定
2023年3月実績
- Tendermint v0.37の正規版へのアップデートを検討
- Tendermint v0.37を採用した場合、Oracleトランザクションと他のtxとの優先順位と互換性を確保
- Oracleをsha256で保護し、すべてのバリデーターに配備(ガバナンスの承認待ち)
- TFL Interchain ウォレットをフォークし、ウォレットレベルで「bech32問題」の潜在的な解決策を開発し、TFLに複数の解決策を提示(TFLが「Luna Classic for Station」のネーミングプレフィックスに関する手法を更新したため不要)
- Cosmwasm v1.0.0へのアップグレードの影響分析、0.16.6からL2 wasm契約を移行する際の影響を評価
- 現在のWASMの仮想マシンをCosmwasm v1.0.0に適合するように拡張
- シークレットネットワークのAssafと連絡を取り、デュアルVMのセットアップを理解
- 第1四半期の活動内容をまとめ、チーム活動に対するコミュニティの評価、チーム活動への資金提供継続のためのガバナンス投票(進行中)
付加価値項目
以下は、当初のロードマップに記載されていないものとなります。
- スパムガバナンス提案防止のための仕組み完成
- Terraオペレーター完成
- L1道場の完成
- デバッグコロンブス-5 "ジェネシスインポート" の問題完了
- ファインダー、Faucet、LCD、FCD、StationをTestnet用に作成完了
- 研究地方分権を確実にするため、バリデーションの最低手数料を段階的に引き上げる検討を完了
- セキュリティ脆弱性対応パッチ完了
- GitHubブランチのクリーンアップを完了
- Addrbook.jsonのクリーンアップを完了
- Terra Classicのステータスページとサービスの稼働率監視
第1四半期:予算の見通しと実績
当初の予算
- 第1四半期の実装は予算内で完了する見込みです。
- 予算の中には、新しい開発専用ラップトップ(現在のラップトップは故障)やLuncBurnArmyのためのブロックチェーン専用ワークステーションなど、必要なハードウェアも含まれています。
- もともとNotionalに割り当てられていた月々$125,000の予算を、Vinh氏(@TheVinhNguyen4)と、場合によってはLuncBurnArmyに割り当てることをTGFに提案・要求しています。これにより、パートタイムの開発者およびシニアプロジェクトマネージャーとしての仕事に対して、適正な市場価格で支払いを行うことができます。
※ これらの項目は現在TGFによって検討されており、元の「L1 Task Force」のガバナンス提案の修正として、再提案が必要になる可能性があります。 - すべてのコアチームメンバーに対するMicrosoft 365のライセンス費用として、毎月$108のOPEXコストが追加されました。
完了時の予算
- 第1四半期は予算内で終了しました。
- マルチシグウォレットには、コミュニティプールに戻される資金と、運営費としてUSDCに変換された資金が残っています。
- 3月末の請求書(Microsoft 365など)がいくつか届くので、予算の概要は数日中に更新される予定です。
- 今週にはすべての経費の領収書と取引情報へのアクセスを、パブリックなSharepointフォルダー経由で提供予定。
資金調達と支払いプロセスの現在の状況
現在、可決された提案11168「L1 Task Forceへの資金提供」によって908,000,000 LUNCが マルチシグ ウォレットにあります。執筆時点(2023年1月21日)でのLUNCの価値は$166,350です。
- 第1四半期の「L1 Task Force」への資金提供の原案では総額$141,750の資金提供を求めています。その結果、マルチシグ口座には~ $24,600の余剰価値があります。
- 残りの四半期の契約L1リソースに支払う資金を確保するため、Terra Grants Foundation(TGF)は$14,175のLUNCをUSDCに スワップ し、TGFのKrakenアカウントに保管する予定です。これにより市場環境が「L1 Task Force」で利用可能な資金に悪影響を与えないようにすることができます。
- その時点で「L1 Task Force」はコミュニティと協議し、第2四半期の新しい資金調達案を作成し、$24,6000の剰余金を第2四半期に繰り入れるか(L1 Task Forceに第2四半期の委任があった場合)、コミュニティプールに返却します(L1 Task Forceに第2四半期の委任がない場合)。
- L1 Task Forceのチームメンバーへの支払いはすべて月末に行われ、USD経由で送付されます。
「L1 Task Force」の第2四半期に向けたステップ
第1四半期が終わり「L1 Task Force」第2四半期の提案11432が投票にかけられました。
投票終了後「L1 Task Force」が更新された場合、私たちは直ちに第2四半期の優先課題に着手することになりますが「ブロックチェーンを他のCosmosのブロックチェーンと同等にすること」「テストネットを構築して将来のすべてのメジャーアップグレードのテスト機能を強化すること」「Luna ClassicのAIサイドチェーンやレペグの開発などチーム「X」関連のイニシアティブにサポートを提供すること」に焦点を置いています。
Terra Classic:L1開発チーム「L1 Task Force」第2四半期の活動・予算提案|Prop 11462
この記事は、Terra Classic L1開発チーム「L1 Task Force」のメンバーであるLuncBurnArmy氏が2023年3月30日に公開した提案『Joint L1 Task Force Q2』の内容を日本語訳した記事となります。
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Terra Classic(LUNC)コミュニティからの問い合わせについて
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L1 Task Forceに関するご質問は「Twitter:@LuncBurnArmy」まで、支払いに関するご質問は TGF コンプライアンスオフィサーの「Twitter:@DemonMonkey777」まで直接お問い合わせいただけます。
また、L1 Task Forceが毎月開催している AMA に参加して開発チームと直接話したり質問をしてください。