USTCリペグ案のモデリング・シミュレーション提案｜RedlineDrifter

この記事は、Terra Classicの開発チーム「Terra Rebels」の元メンバーであるRedlineDrifter氏（@RedlineDrifter）が2023年6月14日に公開した提案『Modeling and Simulation for the USTC Incremental Repeg Buybacks & Staking Swaps Proposal by Redline』の内容を日本語訳した記事となります。

モデリング・シミュレーションの概要

本提案は、すでに ガバナンス 投票を通過しているUSTC リペグ 案「ダイバージェンス手数料/買い戻し/ステーキング/スワップ」のモデリング・シミュレーションプロジェクトを提案しています。

このプロジェクトの目的は「既存ツールの強化」「厳密な分析」「アルゴリズムの強みと弱点に関する貴重な洞察の提供」です。私たちは、この影響力のあるプロジェクトに資金を提供するために Terra Classic（LUNC）コミュニティからの支援を求めています。

マーケットモジュールが行うことを オフチェーン で再現し、ブロックチェーンのさまざまな制約（デプロイメントやテストネットなど）なしでアルゴリズムの微調整と反復を容易にします。

トークンの作成、プロトコルアカウントの管理など、Cosmos に固有のすべての部分を除いて「LUNC<>USTCマーケットモジュール」をPythonで書き直しました。これにより、将来のソリューションのモデル化とテストがより簡単かつ迅速になります。

モデリング・シミュレーションが必要な理由

USTCリペグ案「ダイバージェンス手数料/買い戻し/ステーキング/スワップ」のアルゴリズムは、実装前に徹底的な評価を必要とする有望な提案です。

Terra Classicエコシステムの信頼性を保護するために、そのパフォーマンスを評価し、潜在的な弱点を特定することが重要です。 そして、新しいリペグ提案は将来的に同様の課題に直面する可能性があるため、徹底的なテストと評価が必要です。

このプロセスは「提案されたアルゴリズムの効果を確認し、Terra Classicエコシステムの安定性に潜在的なリスクを軽減するために不可欠」となります。

アルゴリズム動作・パフォーマンスの評価

私たちの提案する解決策は、既存のツールを強化し「ダイバージェンス手数料/買い戻し/ステーキング/スワップ」のモデリングとシミュレーションを行うことです。

高度なモデリング技術を活用し、包括的なシミュレーションを実施することで、アルゴリズムの動作とパフォーマンスを評価します。 これにより、コミュニティに貴重な洞察を提供し、情報に基づいた意思決定を可能にします。

この即時のユースケースに加えて、バックテストツールはTerra Classicエコシステムにおいて将来の開発者やアナリストが独自のアルゴリズムを評価・強化するための貴重なリソースとなります。

したがって、このツールは現在の提案の評価だけでなく、エコシステム内でのアルゴリズムの革新をサポートする2つの目的を果たします。

このツールはPythonで書かれており、主な特徴は以下の3つです。

機能1：データ収集

ツールはBINANCEから取引データをダウンロードし、過去の取引情報にアクセスできるようになります。

機能2：戦略シミュレーション

ダウンロードした取引データを利用することで、ツールは提案された戦略をシミュレーションするためにスワップやその他の取引活動を実行できるようにします。

機能3：パフォーマンス評価

シミュレーションの最後に、利益や損失などのさまざまなメトリックを計算して、異なる市場条件下での戦略のパフォーマンスと振る舞いを評価することができます。

プロジェクト目標

• 「ダイバージェンス手数料/買い戻し/ステーキング/スワップ」のアルゴリズムを収容するために既存のツールを強化する
• アルゴリズムのモデリングとシミュレーションを徹底的に実施し、その動作とTerra Classicエコシステムへの潜在的な影響を理解する
• シミュレーション結果を分析し、異なる市場条件やストレステスト下でのアルゴリズムのパフォーマンスを評価する
• アルゴリズムの強みと弱点を特定・文書化し、その効果と関連するリスクを評価する
• 調査結果に基づいた包括的な洞察と推奨事項をコミュニティに提供する

USTCチーム紹介

プロジェクトチームは、それぞれが独自のスキルと専門知識を持った6人で構成されます。2名のシニアクオンツ（定量分析者）、1名のジュニアクオンツ、2名のクオンツ開発者がプロ​​ジェクトの目標を達成するために協力します。

• Faffy / ALex：シニアクオンツ
• RedlineDrifter：ジュニアクオンツ
• Bilbo / Kyjack：クオンツ開発者
• Edward Kim：オープンソースへの貢献（ボランティア）

クオンツの主な責任は「戦略の開発、実装、テストなど、プロジェクトのモデリング面に重点を置くこと」です。彼らの豊富な経験は、戦略を確実かつ効果的にする上で極めて重要です。

一方、クオンツ開発者は開発経験を活用し「チームの他のメンバーと緊密に対話しながら、ツールのコア機能の強化と効率的なデータ収集の促進、コードの本番化」などに焦点を当てます。

Edward Kim氏は、AI と画像処理の専門知識を活かし、ボランティアとして私たちのプロジェクトに貢献することを惜しみなく申し出てくれました。彼は忙しいスケジュールの中でも金銭的な報酬を求めずに私たちへの支援に取り組んでいます。

予算要求

財務的な側面に関しては、2ヶ月にわたるプロジェクトに$40,000（約560万円）の予算が割り当てられています。この金額は、月ごとに2つの支出提案に分割され、それぞれ20,000ドルです。

この予算は「既存のツールの強化・シミュレーションの実施・データ分析・包括的なレポート作成」など、プロジェクトに関連するさまざまな費用に使用されます。

これらのレポートは、アルゴリズムのパフォーマンスを文書化し、将来の意思決定の形成に役立つ貴重な洞察を提供します。

チームは慎重にリソースを割り当て、プロジェクトの価値を最大化するよう努めて重要な洞察と改善を提供することを目指します。

支払いの内訳は以下の通りです

• Redline / Bilbo / Kyjack：それぞれ$3,000（合計$9,000）※パートタイム
• ALex：$5,000 ※フルタイム
• Faffy：$6,000 ※フルタイム

タイムラインとマイルストーン

プロジェクトのスケジュールは2ヶ月間で、以下のマイルストーンに分かれています。

• 「ダイバージェンス手数料/買い戻し/ステーキング/スワップ」アルゴリズムを収容するために既存のツールを強化する
• モデリングとシミュレーションを実施し、アルゴリズムの動作とパフォーマンスを把握する
• シミュレーション結果を分析、さまざまな市場シナリオの下でパフォーマンスを評価し、長所と短所を特定する
• LUNCコミュニティへの推奨事項を含む包括的なレポートを作成する

成果物

• 「ダイバージェンス手数料/買い戻し/ステーキング/スワップ」アルゴリズムを正確にシミュレートできる強化されたツール
• さまざまな市場条件におけるアルゴリズムのパフォーマンスを評価するシミュレーション結果と分析レポート
• リスク評価を含む、特定された長所と短所の文書化
• 将来のリペグ提案や新しいアルゴリズムのテスト、および評価に必要なインフラストラクチャとツールの展開

Terra Classicコミュニティによる協力支援

このバックテストの取り組みでは、相互に補完する多様なスキルを持つ複数のチームを結集する機会があります。私たちが行うすべてが L1 やブロックチェーンの開発に関わるわけではないことを認識することが重要です。

データ分析、取引戦略、コーディングの専門知識を持つチームとの協力により、提案された戦略の潜在能力を深く探求することができます。

これらのチーム間の協力は全体的なアプローチを強化するだけでなく、戦略の効果の包括的な理解に貢献します。

提案された戦略に対する個々の信念や視点に関わらず、このバックテスト演習は、協力し、お互いのアイデアを探求し発展させることができる協力的な環境を構築するためのユニークな機会を提供します。

協力することでチームワークを強化し、コミュニティ内で革新的かつ協力的な雰囲気を作ることができるでしょう。

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