Terra Classic(LUNC)

Terra Classic:USTCリペグ問題で考慮すべき側面についての理解|Bilbo Baggins

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この記事は、Terra Classicの開発者であるBilbo Baggins氏(@OhhBilboBaggins)が2023年7月11日に公開した記事『Understanding the USTC re-peg』の内容を日本語訳した記事となります。

記事の要点

  • 問題への理解が不十分だと解決策も不十分なものになる
  • 「USTC価格が1ドルではない」という結果だけではなく、すべての側面を考慮する必要がある
  • リペグ問題に関して理解しておくべき各側面ごとのポイント

リペグ問題に関する全体像の理解を深める

これまでの私のキャリアで学んだ最も重要な教訓をまとめるなら次のようになるでしょう。

  1. 全員が全力で取り組み、目標に向けて行動するグループは信じられないようなことを達成することができる
  2. どんなに複雑な問題でも、シンプルな解決策の組み合わせで解決できる
  3. 問題への理解が不十分だと解決策も不十分なものになる

「USTCの リペグ」という目標は、これらの教訓を今日の世界で最も具体化しているものと言えます。

私たちコミュニティがまだUSTCのリペグを解決できていない理由を率直に述べると「問題の一部分に対する解決策を出すことに集団として多くの時間を費やし、USTCリペグという問題の全体像を理解するために必要な時間をかけていないからである」と言っても過言ではありません。

この記事は、USTCのリペグの問題を解決できるように「USTCリペグについて理解し、考え始める最適な方法に関するフレームワークをコミュニティに提供すること」を目的としています。

USTCリペグ問題で考慮すべき側面

USTCのリペグは「USTCの価格が現在1ドルではない結果だけの問題である」と考えがちですが、本当の問題はそれよりも多面的で、全体的な解決策はこの問題のすべての面を考慮する必要があります。

リペグの際に考慮すべきUSTC問題の側面は以下の通りです。

マーケット参加者

仮想通貨マーケットにはさまざまな参加者がいることは言うまでもありません。そして、それらのマーケット参加者が「どのように行動するかを考慮すること」が極めて重要です。

具体的には「USTCの価格がその ペグ と比較してどの位置にあるのか」また「LUNCにどれだけの流動性があってその価格を担保できるのか」によって異なります。

異なるマーケット参加者は、USTCの価格とLUNCの流動性に基づいて異なるインセンティブを持ち、それらのマーケット参加者のインセンティブを異なる価格や担保比率で管理することが全てです。

USTCのリペグが、1ドルのペグを回復し維持することができる「完璧に考慮された解決策」として真に成功するためには、利益を実現するためにUSTCを売ろうとするインセンティブを持つマーケット参加者全員に対して、値動きから利益を実現するためにUSTCを買おうとするインセンティブを持つマーケット参加者が同じくらい(またはそれ以上)存在することが最も重要です。

以下に示すマーケット参加者とそのインセンティブの一覧を考えてみて下さい。

そうすれば、ここで必要とされるバランスをとる行為、さまざまなマーケット参加者がUSTCの価格ポイント/担保比率において多様なレベルでインセンティブのバランスをとる方法になぜ多くの微妙なニュアンスが必要とされるのかが明らかになり始めるでしょう。

【CEX(中央集権型取引所)】

取引手数料からの利益を最大化するために「取引量」を重視します。

【DEX(分散型取引所)】

CEXと同様に、取引手数料からの利益を最大化するために「取引量」を重視します。

【流動性提供者】

取引手数料からの利益を最大化するために「取引量と資本効率」を重視します。

【マーケットメイカー】

流動性提供者と同様に、取引手数料からの利益を最大化するために「取引量と資本効率」を重視します。

【スイングトレーダー】

資産の価格変動を利用し「高値で売って安値で買い戻し利益を得ること」を重視します。

【裁定取引者】

裁定取引者は「マーケット間の価格非効率性を利用して利益を得ること」を重視します。

つまり、あるマーケットで資産を低価格で購入して別のマーケットで高価格で販売し、その差額を利益として手に入れることを目指します。

【バリュー投資家】

バリュー投資家は「マーケットが何らかの理由で誤って価格を低く設定した資産を見つけること」を重視します。

大量の資産を割引価格で購入し、長期間待ってマーケットが正しく価格を評価するのを待ち、その後高い利益を得るためにポジションを売却します。

【ショーター】

ショーターは「マーケットが高過ぎる価格で評価した資産を見つけること」を重視します。

これにより、マーケットが長い時間をかけて価格を修正する際に、資産の価格が下がることで利益を得ることができます。

現在の高価格で資産を売却し、のちに低価格で資産を買い戻すことを意味します。

【長期保有者】

価格の変動やマーケットの揺れにかかわらず「特定の日付または目標とする利益レベルが達成されるまで資産を保持」します。

【ステーカー】

ステーカーは、自分たちの資金を Proof of Stake(PoS)のブロックチェーンまたはプロトコルにロックアップし「長期的に保有したい投資から受動的な収入または利益を得ること」を重視します。

そして、資産が短期間にマーケットによって減価された場合でも、その資産がステーキング / ロックアップされていて売却できないというリスクと引き換えに長期的な報酬を受け入れます。

【バリデータ】

バリデータ は「自分たちへの委任を増やしてブロックチェーンを安全に保ち、ブロックチェーンに価値を加えること」を重視します。

彼らは投票権が増えると利益が上がることを理解しています。これはより多くの委任を得ることで、バリデータコミッション料という形でネットワーク手数料の大きなシェアを得られるからです。

また、一部のバリデータは、バリデータコミッションの外で追加の収入を得るために、自分がバリデーションを行っているブロックチェーン向けに dApps やサービスを作成します。

【ベンチャーキャピタリスト】

ベンチャーキャピタリストは「エンジェル投資家やシード投資家として参加したプライベートセールやプレセールからのリターン」を重視します。

一般的に、彼らは大量の供給を待機リリーススケジュールにロックアップしており、契約の詳細は取引ごとに異なりますが、彼らは全員が初期投資の何倍ものROI(投資利益率)を追求しています。

【個人投資家】

個人投資家は他の投資家と同様に利益を得ることに関心がありますが、その行動は他の投資家とは異なります。

彼らの行動として「物語や感情に基づいて購入し、投資については流れに身を任せる傾向」があります。

経験豊富な投資家が従うような戦略的な一連のルールや原則ではなく ”感情” に基づいて意思決定を行います。

マーケットインフラ

仮想通貨エコシステムは複雑なシステムで、常に各マーケットに流動性が流れています。

USTCの価格を管理し、1ドルのペグを守るためには「その価格が仮想通貨エコシステム内のすべてのマーケットを通じてどのように広がっていくのか」を完全に理解する必要があります。

Terra Classic(LUNC)の場合、USTCの現在のマーケット価格は各バリデータが稼働している分散型価格オラクルからの報告に基づき、オンチェーンで30秒ごとに更新されます。

これはUSTCだけでなく、Terra Classicが保有するすべての ステーブルコイン に対して当てはまります。

しかし、DEX(分散型取引所)とCEX(中央集権型取引所)におけるUSTCの価格は、このシステムに従っているわけではなく、USTCに限らず、あらゆる資産で常にマーケット間の価格乖離が起きていることを理解することが重要です。

これが 裁定取引者(通常はボットを運用)が活動する場所で、あるマーケットで資産を低く買い、別のマーケットで高く売る機会を見つけます。

このマーケット間の活動は仮想通貨エコシステム内で24時間365日行われており、価格発見の非常に重要な機能を果たしています。

Terra Classicの元のマーケットスワップアルゴリズムは、この裁定取引者が自然に持っているインセンティブのバランスを取ろうと試みていましたが、インセンティブがアルゴリズムレベルでうまく構造化されていなかったためにうまくいきませんでした。

この元のアルゴリズムの欠陥を解決する必要があり、その解決策については今後の投稿で説明します。

マーケット流動性

私たちはより広いエコシステムの中に存在しています。

その上で「ブロックチェーンにソリューションを適用するだけで流動性がオンチェーンに留まり、私たちが設定しようとするどんなルールにも従うことを期待することはできないということを理解すること」が極めて重要です。

もし私たちがブロックチェーンとして流動性に厳しいルールを設けた場合、その流動性は他のブロックチェーンやオフチェーンマーケットへと逃げてしまう可能性があります。

流動性は常に最も持続可能な利回りが得られると思われる場所に配置され、流動性プロバイダーまたはマーケットメーカーであれば「資本効率」が重要になります。

私たちがUSTCを1ドルにリペグさせ、LUNCの供給を減らすためには、流動性をオフチェーンに逃げるような仕組みを考え出すのではなく「流動性をオンチェーンに引きつける方法」を見つける必要があります。

プロダクトマーケットへの適合

マーケット参加者、インフラストラクチャー、マーケットの流動性の動きを理解することは、技術的な観点からUSTCを確実にリペグに導き、ペグを守ることができる複数のメカニズムを構築するのに役立ちます。

しかし、Terra Classicのプロダクトマーケットへの適合を達成することによって、USTCに対する真の需要を創出することが重要です。

私たちが現実世界のシナリオで完璧に機能する全ての技術的な仕組みを持っていたとしても、もし人々がUSTCを購入したり使用したりしないのであれば、それらの仕組みは何の意味も持ちません。

これはUSTCのリペグ問題の隠れた面で見落としやすいかもしれませんが「最も重要な要素」で、プロダクトマーケットへの適合は重要な鍵となります。

私たちはすでに、LUNC、USTC、Terra Classicのためのプロダクトマーケットへの適合を助けるアイデアを持っています。

このアイデアに関してはコミュニティが私たちと一緒に議論し、ブレインストーミング(複数人でアイデアを出し合う)をするために今後の投稿で明らかにする予定です。

まとめ

私たちはこの記事が、USTCチームがUSTCリペグを解決するためにどのような考え方で取り組んでいるのか、コミュニティの皆さんに少しでも伝われば幸いです。

もしこのような記事が有用で勉強になると感じたら、ぜひお知らせ下さい。

私たちはどのようにUSTCをリペグするのが最善かについて全員が同じ認識を持てるように、さらに努力していきます。

【質問やコメント】

何か質問やコメントがあれば、Commonwealth上にある「USTCチームの受信箱スレッド」に投稿してください。

USTCチームのメンバーが返信できる時に対応します。

『Understanding the USTC re-peg』の原文はこちら
USTCチームの活動報告
Terra Classic:USTCチームの活動報告【最新版】|Bilbo Baggins

この記事は、Terra Classicの開発者であるBilbo Baggins氏(@OhhBilboBaggins)が公開している記事『USTC Team Weekly Update』の内容を日本語訳した記事となります。

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