Terra Classic(LUNC)

Terra Classic:ソフトペグに導く為替レート修正機能の追加|Duncan

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※この記事は、Terra Classicの著名な開発者であるDuncan氏(@wrapped_dday)が2023年1月20日に公開した提案『USTC Re-Peg: “Ziggy” + Pendulum』の内容を日本語訳した記事となります。

提案の要点

  • ソフトペグをさせていくために為替レート修正機能「ERM」を実装
  • 「ERM」は為替レートを一定量増減させることができる
  • 上手くいけばリペグ化するだけでなく、ペグを維持するための方法論になる

免責事項:Duncan氏について

私は PFC の支援を受けてバリデータ「Onyx Validator」を運営しています。私は主に1人で活動をしており、暗号エコシステムを独学で勉強しています。そのため、TFL(Terraform Labs)や、TerraCVita のような主要な組織とは正式な提携関係はありません。

最終的な提案は2023年1月31日に投票にかけられる予定ですが、この日付は変更される可能性があります。

これまでのUSTCリペグ議論

新規手数料変数によるルナ為替レートの修正

「ArbitrageModifier」と呼ばれる投票手続きが完了した後、LUNA為替レートに手数料を適用します。

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裁定取引手数料「ArbitrageModifier」を導入

ArbitrageModifierを使い、USTCを段階的にペッグさせていく「ソフトペッグ」の概念を活用して目標を達成します。

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価格調整による裁定取引のインセンティブ拡張

裁定取引ユーザーにインセンティブを与えることによって取引活動不足の問題の解決を目指します。

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提案に対する議論のポイント

これは「Terra <> Luna」間の任意の価格水準でインセンティブを用いて 裁定取引(アービトラージ)を推進し「ペグ を保持する方法」を提案する4回目のディスカッションです。usdrの為替レート(Luna)、またはuusdのような ステーブルコイン(USTC)に手数料を適用し、任意のペグから大きく離れた場合に重税のような資本規制を追加することで実現されます。

このディスカッションでは、これまでのコンセプトを反復し、コミュニティからのフィードバックによって浮き彫りになった重要な問題を明確にしていきます。議論のポイントは以下の通りです。

  • 投票手続きの後に為替レートを変更することは「市場操作」とみなされるのか?
  • 金融政策を議論する場合「手数料」と「税金」は異なるのか?
  • 金融政策は「相場操縦」の一種と考えられるのか?
  • このような提案を進める場合、コントロール不能に陥らないようにするにはどうしたらよいのか?
  • 同様に、リペグ した際に何が起こるかの?どのように準備するのか?

ガス代(手数料)問題について

この提案は、L1 トークン(LUNC)ではなく、USTC自体を中心とした「自動的に発生する手数料(他の多くのL1 ガス代 システムと同様)を追加するよう求めるもの」です。このディスカッションでは、自動化されたレバーを「ERM(ExchangeRateModifier)」と呼びます。

ERMは、例えば「+-0.15%程度増減させる」といったように、USTCの為替レートを一定量増減させることができます。ですが、ここで「そもそもERMのトリガーは何なのか?」という興味深い論点が浮上します。

イーサリアム(ETH)のような多くのL1では「人々がどれだけそれを使っているか」によってレートが更新されます。イーサリアムをガス代に使用する際の核となる問題は「その価値が常に変化し、供給量も常に変化する」ということです。ある瞬間、取引手数料が$15だったとしても、その30秒後には$18になるかもしれないと想像してみてください。

私たちは Terra Classic(LUNC)チェーンでこの問題の解決策を模索していますが、イーサリアムの代わりにUSTCを使用しているため、より「安全」な立場にあります。私たちのネットワークでそれを使用する場合、$0.01と$0.015の差額が発生することになるのです。少額の取引では大したことはありませんが、多くの取引をするようになると0.5セントが加算されていきます。

イーサリアムの統計は「ultrasound.money」で確認することができます。

リペグの背後にある動機

USTCのリペグは、より大きなアイデアである「SDTのリペグ化」にまで広がっています。SDTとは、国際通貨基金(IMF)特別引出権(SDR) のTerra版です。私たち開発者の間では"SDT"と呼んでいますが、LUNCと呼ぶ方が伝わりやすいかもしれません。

ここで「LUNCのリペグ化とは?」「どのように機能する?」という疑問が浮かびます。

Terra ClassicはUSTC以外にもステーブルコインを提供しており、韓国ウォンにペグされている「KRTC」は、LUNCが提供できる資本の少なくとも数%を占めています。その他にも20カ国ほどの法定通貨に連動するステーブルコインがあり、さらに追加することも可能です。

SDTのリペグは、LUNCの時価総額とUSTC(+KRTC+他のTerraステーブルコイン)の差額の約$15億であると考えた方が正確かもしれません。ですが、$15億という金額は、この先対処しなければならない$95億よりもずっと管理しやすい価格です。

この提案の背景にある動機は「お金を生み出し、その価値を オンチェーン に戻す」というもので、他の人と同じ考えのものです。この意味で、ERMの提案は、BINANCEなどの他の取引所でUSTCを持っているユーザーにそれをオンチェーンに戻すよう求めるだけです。また、彼らは私たちと一緒にTerra Classicの可能性に賭けるか、キャッシュアウトする機会を与えます。 結局のところ、それは自由市場なのです。

市場操作にあたるのでは?という懸念について

この提案は、バリデータ から元の価格情報が提出された後に、Terra Classicの ネイティブトークン であるLUNCやUSTC、KRTCなどの為替レートを変更するよう求めています。

この提案に対してバリデータの1つである「Nova」が投げかけた核心的な質問は「これは市場操作とどう違うのか?」というものです。

これに対する返答は「例えば税金やガソリン代の値上げなど、私たちが手動で投票するものは市場操作ではないのか?」というものです。それとも、代わりにこれらを金融政策と銘打ってインフレと一緒にしてしまえば違うのでしょうか?

Cosmosのインフレモジュール、いわゆる政府における金融政策との唯一の違いは「ユーザーがネットワークにどれだけの資本出資をしているかによって自動的に分配されること」です。これはブロック単位で予測可能となります。

毎年「いくらでインフレにするか」を決めるリーダーを選ぶと、本質的に予測不可能な人間が出てきてしまい、また、それに加えてそれぞれの思考の偏りもあります。人は誰でも自己保身に走り、自分の利益を最大化しようとする傾向があります。

プログラムを選出し、オープンソース環境でプログラムを相互に変更する方が簡単です。私たちはプログラムがどのように機能するかを観察し、必要に応じてその枝を育てたり刈り込んだりすることができます。

そのため「自動化されたシステムは市場操作ではない」というのが私の見解です。なぜなら、変更するためには集団的な努力が必要だからです。もし、すべての変更、特に「金融政策」という概念に関連する変更を行うために役員会を選出するならば、我々は何も学ばずに、すでに政府がどのように機能しているかを映し出す危険にさらされていることになるのです。

技術者以外に向けた提案内容の説明

私たちは、LUNCを含む任意のTerraトークンの価格を動かすレバーを作ります。そして、このレバーが作動するトリガーを追加することで、どちらか一方に意図的にインセンティブを与えることを避けることができます。コードでは、これを”条件(if A then B)”と呼びます。

以下の画像のような古時計を想像してみて下さい。

アンカー脱進機(*1)により振り子で時計を動かすことができます。この提案に置き換えると、振り子を動かすために「ソフトペグ」を決定します。

(*1)脱進機:時計の精度を司る部品で、調速機と脱進機という2つの機構をまとめた呼称。ゼンマイが解ける力を歯車に伝達する際、ゼンマイの解ける速度を調整するブレーキとアクセルの役割を果たしている。

この振り子を「いつ振り始めるか」をあらかじめ決めておくことも「アルゴリズムの一部」としてコーディングすることもできます。

例えば、直近の為替レートを用いて「USTC = $0.02」をソフトペッグの値に決定するとします。これが「振り子」のイメージです。

そして「高値」と「安値」という2つのパラメータを設定し、高すぎたり低すぎたりした場合は、このメカニズムを停止させます。仮に高値が「USTC=$0.03」安値が「USTC=$0.01」と設定した場合は$0.01の”振れ幅”があるのです。

ある意味、これはアルゴリズムの「価格変動(ボラリティ)耐性」のようなものです。Terraのアルゴリズムはすでにこの点を意識して設計されています。あとは、アルゴリズムに「時間的な許容範囲」を追加していきます。オプションに詳しい人は「vega / volga / vanna / theta」にそれぞれ例えてみるといいでしょう。

アンカー脱進機(古時計の振り子)がどのように動くかについて時間を考えると、それらは等時性、つまり一定の間隔で発生するものです。つまり、この「ソフトペグ・スイング」に対する時間の許容範囲は、例えば10ブロック(1分強、およそオラクル2回分)といった「あらかじめ決められたブロックのセット」でなければなりません。

これにより、ペグメンテナンスシステムへの「トルク」加算(あるいは減算)が予測可能になります。

ソフトペグへと導く為替レート修正機能の追加

実装の手順としてはまずはじめに、最後に報告されたオラクル価格からソフトペグへ導く為替レート修正機能 「ERM(ExchangeRateModifier)」を追加します。すでにModifier(*2)が有効(状態が変化していない)な場合は、Modifierを適用させないで下さい。

(*2)Modifier:いつでも元に戻すことができる「変更」をするための機能のこと。

次に、このソフトペグに対して、許容できる価格変動(ボラリティ)の範囲を「ソフトペグから± $N」といった形で決定します。

最後に、このModifierが有効である許容期間をブロック数で決定し、これを「ModifierBlockDuration」とします。

このプロセスを単純化するために、SDTから「ディペグ」している場合はModifierRange / 2のディスカウントを適用し、SDTのペグを超えている場合はModifierRange / 2のプレミアムを適用しています。

為替レート修正機能 「ERM」追加の流れは以下の通りです。

  1. ソフトペグの値を設定
  2. 価格変動の許容範囲を決定
  3. Modifierが有効になるブロック数を決定
  4. 結果のシュミレート

1. ソフトペグの値を設定

報告されている最新のuusdの為替レートは「0.020000」なので、ソフトペグの値を「20000uusd」とします。すでにModifierが適用されているならこの関数をキャンセルし、そうでなければ下記のコードを適用させます。

ModifierActive ? break() : applyModifier()

2. 価格変動の許容範囲を決定

uusdの加算・減算などの演算子を使って許容できる価格変動を「ModifierRange」として下記のように決定します。

  • ModifierRange = 1500uusd
  • SoftPeg.high = 21500uusd
  • SoftPeg.low = 18500uusd
  • ImmediateModifier = 750uusd

3. Modifierが有効になるブロック数を決定

Modifierを有効にするための下記のようにブロック数を決定します。

Modifierブロック時間 = 10

4. 結果のシュミレート

ソフトペッグの値は$0.02です。Modifierがまだオンになっていない場合はオンにします。価格の変動が「± $0.0015」まで許容され、許容範囲を超えた場合は自動的に停止します。

Modifierが自動的に停止する前に、10ブロックの修正が有効になることを許容します。ガードが決定したら、ガードの条件を満たすまでUSTCに$0.00075の割引を適用します。

Terra Classicコミュニティからの質問

Q 1:分かりやすく説明して欲しい

少しずつソフトペグ値を上げていきUSTCをリペグさせます。このソフトペグは、バリデータが前回報告したものです。現在はディペグされているため、最初にディスカウントします。

Q2:なぜ最初に割引をするのか?

私たちには助けが必要です。この場合、私たちの "チェーン経済" を刺激するためにお金を稼いでくれる誰かが必要です。ペグを超えたら逆にチェーンを使う人にお金を払うことで利益を得るのです。

Q3:他の人の提案を利用することはできる?

もちろんです。私たちは、全員にとってうまくいく何かを一緒に決める必要があるだけです。私がこれまでに気に入っている提案は、@RedlineDrifter 氏の「乖離税制案」と、@X-fileperseek 氏の「買い戻し・保存案」です。

Q4:この提案はどんな恩恵を受けられる?

より多くの取引がより多くの Burn を生み出します。また、オラクルやコミュニティプールに送金する取引数も増え、それがステーキング報酬に支払われることになります。

このメカニズムが適切に設計されていれば、実際に税金を完全に排除して、リペグに全力投球することができます。その時の状況に応じてLUNCやUSTCをディスカウントで購入することができますが、その一方でディスカウントされたLUNCは、私たちのBurnによって「除去しなければならない供給量」を増やす可能性があります。そう考えると、すべてのLUNCが結合されるのですから、私たちはBurnする必要さえないかもしれません。

最も重要な点は、これがうまくいけばリペグ化するだけでなく、それを維持するための方法論になるということです。

Q5:「Burnする必要がないかもしれない」というのはどういう意味?

LUNCをバリデータに委任すると"フロート "と呼ばれるものから取り除かれます。私たちはトークンを破壊するのではなく、トークンを利用できるようにすることで利益を得ているのです。

「Burnすると供給が減る」という点は同じことですが、この提案はそのお金をまとめて使えるようにするものです。

Q6:クジラがUSTCを一度に全部売ったら振り出しに戻る?

そうではありません。この点が債務再編(意図的、またはBurn)や逆分割を使ったオーバーナイト(日にちをまたぐ取引)のペグができない理由でもあります。いずれの場合も、比例性を考慮せずに供給量を変更したに過ぎず、この方法でもペグが$1で維持される保証はありません。

重要なのは「どのようなソフトペグレベルでもペグを維持できるような解決策を見出すこと」です。

Q7:USTCをBUSD(または他のステーブルコイン)で担保するのは?

できます。しかし、それはアルゴリズムで分散化され、BINANCEを含む「いかなる機関にもコントロールされていない」という点が損なわれてしまうのではないでしょうか?

このような提案は、BINANCEだけでなく、Terra資産に触れてきたすべての市場に利益をもたらします。だからこそ、細かい部分を正しく理解し、何に投票するのか分かるように説明することがとても重要なのです。

Q8:本稼働させる前にテストすべきなのでは?

もちろんです。この提案では、データを解析し収集する分析チームに資金を提供することから始まるようお願いしたいと思います。それは必ずしも私である必要はなく、むしろ、公開テストネットのデータを提供できる別のチームであることが望ましいと考えています。

ユーザーは、テストネットの蛇口(テスト用に提供されるトークン)にアクセスし、それを壊そうとすることができます。もちろん、インセンティブ付きです。このようにして、数十億のボリュームを処理するための本稼働アプローチの提案を洗練させることができます。

Duncan氏による個人的な感想・考え

願わくば、この提案は前回の設計より簡素化されたものであって欲しいと考えています。そして、バックエンドの設計のニュアンスを残しつつ、分かりやすいものにしようと心掛けています。

テストネットのデータ収集に分析チームの力を借りたいと考えているのは、最終的に兆単位の取引量を扱おうとしているからです。数十億は最初のステップですが、数兆は次のステップです。

FX市場は毎日何兆もの 出来高 を扱っていることを思い出してください。これにはデリバティブ市場も含まれておらず、イーサリアムが最初に扱えるようになる可能性が高いのです。また、コミュニティにテストネットプロセスに参加してもらって、テストネットの仕組みを理解してもらうことも可能です。

USTC供給量 の少なくとも40%は、BINANCEのホットウォレット、LFG、Ozone treasury(その他多くのトレジャリー)、つまり基本的に大口保有者が保有していることを考慮しておくべきです。リペグは彼らにとっては正しいことですが、私たちが大きな価格ショックに見舞われるような事態を引き起こすかもしれません。

Ziggyは「リペグ」ではなく「リペグの防止」に重点を置いているので、この点についての対策は別途考えていますが、織り込み済みです。最終的には「誰がUSTCを持っているか」を分散させることでリスクを分散させたいと考えていますが、彼らはまずそれを手放す理由が必要で、それは率直に言ってリペグになるでしょう。

その点、私たちは総供給量の~ 10%程度で仕事をしています。この提案は、ブロックチェーンの主なユーザーである”裁定取引ユーザー”にアピールする最もシンプルな方法です。裁定取引の仕組みが強固であればあるほど、ステーキング委任者は彼らの仕事から利益を得ることができます。

FXトレーダーがネットワークを使うたびに手数料を稼ぐようなものだと考えてください。手数料が0.02%かかる取引で0.01%を稼ぎ、それを1日に100万件の取引を行ったとしたら?あなたは年間を通じて取引をしていることでしょう。

『USTC Re-Peg: “Ziggy” + Pendulum』の原文はこちら
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